事故車は宝の山? 買取ビジネス「1000億円」市場、バブル到来か成長の限界か? 命運を左右する4つのリスクとは
事故車買取ビジネスは、国内市場1000億円規模に成長し、再販だけでなく資源循環の中心として進化中。高齢化や海外市場の拡大が追い風となる一方、技術革新や法規制強化は新たな挑戦に。未来を切り開くのは事故車の価値再定義と柔軟な対応だ。
1000億円市場を左右する4つのリスク

一方で、事故車買取ビジネスには成長の限界やリスクも存在する。まず、先進運転支援システム(ADAS)の普及が事故件数の減少につながる可能性がある。衝突被害軽減ブレーキやレーンキープアシストなどの技術が広がれば、事故そのものが減少し、事故車の供給も減少するだろう。また、自動運転技術が進化すれば、事故の発生自体が大幅に減少する可能性も高い。
次に、電気自動車(EV)の普及による部品需要の変化も懸念材料だ。EVは内燃機関車に比べて構造がシンプルで、部品点数が少ないため、従来の事故車からの部品取りビジネスに影響を与えるだろう。また、バッテリーの再利用技術が進めば、車両全体を解体するのではなく、バッテリー単体の流通が主流になる可能性もある。
さらに、安全性や信頼性を重視する消費者意識の変化もビジネスに影響を及ぼすだろう。「事故歴のある車を避ける」という傾向が強まるなかで、特に若年層はカーシェアやサブスクリプションを選ぶことが多く、安価な修復歴車の需要は縮小する恐れがある。
最後に、法規制や国際基準の強化も重要なリスク要因だ。特に欧州では環境基準の厳格化が進み、一定の排ガス基準を満たさない中古車の輸入が制限されている。このような規制が今後、発展途上国にも波及すれば、事故車の輸出市場は縮小する可能性がある。