自動車ショーに「コンパニオン」は必要? 時代遅れ? おっさんホイホイ? 華麗な表現の場? ジェンダー平等、VR展示…演出のあり方を考える

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自動車ショーで長年重要な役割を果たしてきたコンパニオン。しかし、ジェンダー平等や技術革新の進展により、その存在意義が問われる時代が訪れた。伝統と革新の狭間で、未来の自動車ショーはどのように進化すべきか、その方向性を探る。

変革を求める声―反対派の視点

ジェンダー平等のイメージ(画像:写真AC)
ジェンダー平等のイメージ(画像:写真AC)

 近年の社会変化を背景に、コンパニオンの役割に対する疑問の声が増えている。

 かつては「華を添える存在」として歓迎されていたが、ジェンダー平等や多様性が重視される現代においては、いわば“おっさんホイホイ”のような「女性を装飾的に扱う演出」と見なされ、批判の対象となることがある。特に海外ではコンパニオンを廃止する動きが進み、コンパニオン不在の展示が一般的になりつつある。

 また、自動車ショーの本来の目的は、車そのものの性能やデザイン、技術を来場者に伝えることにある。その観点から、コンパニオンの存在は必須ではないという指摘もある。特に、自動運転技術やEV化、コネクテッドカーといった未来志向のテーマが主流となるなか、従来の華やかな演出は必ずしも必要とされなくなっている。

 来場者の多様な価値観とのズレも問題視されている。家族連れや女性来場者のなかには、女性を「飾り」として扱う演出に不快感を覚える人も少なくない。さらに、自動車業界で働く女性にとっても、業界イベントの場で旧来的な性別役割を強調するような演出は、逆効果となる可能性がある。

 実務的な観点では、コンパニオンの雇用にかかるコストも課題の一つだ。限られた予算をデジタルプロモーションやインフルエンサー施策に振り向けることで、より効果的なマーケティングが可能になるかもしれない。特にVRやAR技術の発展により、来場者自身が車内や走行性能を疑似体験できる仕組みが整いつつあり、従来の演出に代わる手法が広がっている。

 さらに、企業のブランディングへの影響も無視できない。若年層や海外市場においては、コンパニオンの活用が「古い価値観に基づいた演出」と受け取られるリスクがある。これにより、企業が発信する先進性や多様性のメッセージと矛盾し、ブランドイメージの低下を招く可能性も指摘されている。

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