自動車ショーに「コンパニオン」は必要? 時代遅れ? おっさんホイホイ? 華麗な表現の場? ジェンダー平等、VR展示…演出のあり方を考える
伝統と効果―肯定派の視点
コンパニオンの存在を支持する側の主張には、いくつかの観点がある。
まず、ビジュアルと演出効果の面では、自動車ショーにおいてコンパニオンは視覚的な魅力を高める役割を担ってきた。高級車やスポーツカーの前に立つ華やかな姿は、車のデザインを引き立てるだけでなく、展示ブース全体に洗練された印象を与える。特にラグジュアリーブランドにとっては、単なる製品展示にとどまらず、ブランドの世界観やライフスタイルを表現することが重要であり、コンパニオンはその演出を補完する存在となる。
次に、宣伝やマーケティングの観点からも、その効果は無視できない。人は視覚的な刺激に惹かれやすく、魅力的なブースデザインや華やかなプレゼンテーションに加え、コンパニオンの存在は来場者の注目を集める要素となる。SNSの普及により、コンパニオンを背景にした写真が拡散されることで、ブランドや企業の認知度向上にも寄与する。
また、コンパニオンという職業自体に意義を見出す声もある。多くのコンパニオンは、モデルやイベントスタッフとしてのキャリアを築く過程でこの仕事を選んでおり、単なる「展示の一部」ではなく、自己表現の場であり、経済的な自立の手段としても機能している。
経済的な視点から見ても、自動車ショーは一大イベントであり、コンパニオンを含む関連産業に大きな波及効果をもたらす。イベント会社や広告代理店、衣装制作会社など、多くの業界がこの機会を通じて収益を上げており、コンパニオンの存在はその経済循環の一翼を担っている。
さらに、文化としての側面も無視できない。自動車ショーにおけるコンパニオンは長年にわたり定着しており、一部のファン層にとってはイベントの象徴的な存在でもある。単なる車の展示ではなく、総合的なエンターテインメントとしてショーを楽しむ来場者にとって、コンパニオンの存在はイベントの魅力を高める要素のひとつとなっている。