ガスト、デニーズ… なぜ「ファミレス」は郊外に多いのか? いまや高齢者の憩いの場から学生の自習室まで、郊外生活を支える意外な役割とは

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ファミリーレストランは、食事の場にとどまらず、郊外の交通・地域社会を支える重要な「ハブ」として機能している。高齢者の交流拠点や若者の学習スペース、ビジネスの打ち合わせ場所として多様な役割を果たし、EV充電設備やテレワークスペース導入など、今後の進化にも注目が集まる。

多機能化進むファミレスの未来

ファミレス(画像:写真AC)
ファミレス(画像:写真AC)

 郊外の発展とともに成長してきたファミレス業界だが、今後の展望には変化の兆しが見え始めている。近年、一部の店舗ではテレワークスペースを取り入れるなど、業態の多機能化が進んでいる。この動きは、働き方の変化に対応したものであり、今後さらに広がる可能性を秘めている。また、ファミレス業界は交通との連携強化にも力を入れており、EV充電設備を備えた店舗が増加している。将来的には、ファミレスが「モビリティ拠点」として地域交通インフラの一部を担う可能性も十分に考えられる。

 日本ソフト販売(東京都中央区)の統計データによると、ファミレス業界全体は減少傾向にある。特に店舗数の前年比減少は顕著で、2023年12月と2024年6月のデータを除けば、ほぼ全月で減少が続いている。とはいえ、その減少幅は数店舗程度であり、業界全体の縮小は急激ではないが、持続的な減少傾向にあることが分かる。

 2024年7月時点での店舗数は6344店舗で、前年同月比で1.5%減の94店舗減少しており、2023年版(3.2%減)、2022年版(1.8%減)と比較して、減少幅はやや緩やかである。チェーン別では、ガスト、サイゼリヤ、ジョイフル、ココスの4チェーンが引き続き微減または若干減となっており、特に顕著な増加を見せているチェーンは見受けられない。ジョリーパスタは3年連続で増加しているが、その増加幅は縮小しており、ジョナサンやビッグボーイ、そしてステーキガストなどは減少が大きい。特にジョナサンの減少幅が最も大きい点が注目される。

 業界全体の動きは安定していないものの、減少幅が徐々に縮小していることは肯定的な兆候といえる。各チェーンは「現状維持」を目指した調整を進めており、今後もその動向に注目が集まるだろう。

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