「高校生の通学が不便に…」 名鉄広見線、存続か廃止か? 年間赤字2億円と輸送密度1600~1700人の現実! 可児市長は難色も、市は火消しに躍起状態
岐阜県を走る名古屋鉄道広見線の新可児(可児市)~御嵩(御嵩町)間7.4kmが存続の危機に直面している。この区間の存続を巡り、沿線の地方自治体がどのような対応を取るかが今後のカギとなる。自治体は、路線存続のためにどのような覚悟を持つべきか、重要な判断を迫られている。
沿線自治体間の足並みに乱れ

“みなし上下分離”で区間を存続させるなら、利用者が多い御嵩町が中心になって費用負担することになりそうだ。だが、御嵩町の当初予算規模は2024年度で約96億円と小さい。財政調整基金が約21億円あるものの、単独で設備投資を負担すれば5、6年で基金を使い果たすことになる。
若年人口の減少で通学の高校生が減少することが予想されるだけに、住民の利用を増やす努力が必要だ。区間を最低、月に1度利用している住民は御嵩町で16%。この割合を大きく引き上げなければ話にならない。御嵩町企画課は
「路線維持となれば、財政が大変なことになるが、工夫を重ねてやり遂げるしかない」
と説明するが、車社会の進行に抗い、区間の維持を住民全体が「我が事」と考える空気の醸成は簡単でない。沿線自治体間の足並みの乱れも気にかかる。可児市の冨田成輝市長は2024年12月の記者会見で
「市の支援は年間3000万円が限度。それ以上負担するのであれば、(鉄道と)別のほうがよいことになる」
と現状を上回る負担に難色を示した。可児市都市計画課は
「庁内に市長のような意見があるのは事実。しかし、市としての最終判断は沿線自治体との協議で決める」
と火消しに躍起だが、御嵩町が苦しい立場に追い込まれていることは間違いない。
名鉄は結論を沿線自治体の判断に委ねる方向。沿線自治体は6月をめどに結論を出すことにしている。“みなし上下分離”か、廃線か、残された時間はわずかしかない。