「高校生の通学が不便に…」 名鉄広見線、存続か廃止か? 年間赤字2億円と輸送密度1600~1700人の現実! 可児市長は難色も、市は火消しに躍起状態
岐阜県を走る名古屋鉄道広見線の新可児(可児市)~御嵩(御嵩町)間7.4kmが存続の危機に直面している。この区間の存続を巡り、沿線の地方自治体がどのような対応を取るかが今後のカギとなる。自治体は、路線存続のためにどのような覚悟を持つべきか、重要な判断を迫られている。
住民減少と鉄道存続問題

広見線自体は犬山駅(愛知県犬山市)~御嵩間22.3kmだが、新可児駅で運行系統が分離され、新可児~御嵩間を2両編成の列車が概ね30分に1本のダイヤで走る。中間駅は可児市に明智駅、御嵩町に顔戸(ごうど)駅、御嵩口駅が設けられている。明智駅からはかつて、木曽川に沿って八百津町へ向かう八百津線があったが、2001(平成13)年に廃止された。
沿線は岐阜県南東部の濃尾平野最東端に位置し、一部が名古屋市のベッドタウンになっているが、可児市中心部を抜けると田園風景が目立つ。2024年末の推計人口は可児市約9万8000人、御嵩町約1万7000人、八百津町約9400人。ともに減少傾向にある。
区間の利用者数は1996年度に年間224万人を数えたが、2000年代に入って急激に減少した。その後は下げ止まった感があるものの、2023年度は78万人。人口減少と車社会の進行で1996年度の3分の1近くまで落ち込んでいる。
名鉄は区間の輸送密度(1km当たりの1日平均輸送人員)を公表していないが、御嵩町は
「1600~1700人で推移している」
という。その多くが御嵩町の住民だ。JR西日本で存廃協議に発展した中国山地の芸備線やJR北海道、JR四国の赤字が深刻な路線に比べると、1~2桁多い数字だが、今後の人口減少を考えると先行きに不安が残る。