「高校生の通学が不便に…」 名鉄広見線、存続か廃止か? 年間赤字2億円と輸送密度1600~1700人の現実! 可児市長は難色も、市は火消しに躍起状態

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岐阜県を走る名古屋鉄道広見線の新可児(可児市)~御嵩(御嵩町)間7.4kmが存続の危機に直面している。この区間の存続を巡り、沿線の地方自治体がどのような対応を取るかが今後のカギとなる。自治体は、路線存続のためにどのような覚悟を持つべきか、重要な判断を迫られている。

“みなし上下分離”なら自治体負担が大幅増

広見線の終点となる御嵩町の名鉄御嵩駅(画像:高田泰)
広見線の終点となる御嵩町の名鉄御嵩駅(画像:高田泰)

 沿線自治体と名鉄、国、岐阜県は区間の将来検討に必要な調査や分析をする勉強会を設けている。2023年度には利用者の55%を占める高校生や住民の意識調査を進め、2024年末の御嵩町議会で報告された。

 報告によると、沿線の東濃高(御嵩町)など3校の生徒約1000人とその保護者のアンケートでは、生徒の54%が通学に区間を利用し、生徒の76%、保護者の67%が運行継続を望んでいることが分かった。

 沿線住民約3000人の意識調査では、代替手段があれば運行継続の必要がないとする声が御嵩町で19%、可児市で28%あった一方、運行継続を望む声は

・現在あるいは将来利用したいため:14%
・子どもや高齢者のため:40%
・地域活性化のため:8%

に上った。

 これに対し、名鉄側には赤字補填だけで運行を継続できない苦しい事情がある。3年ごとに協定を更新するなか、大規模な設備更新を控えてきたため、設備の老朽化が進んでいることだ。名鉄は沿線自治体に15年間で約17億6000万円が必要になると示している。

 御嵩町がシミュレーションした結果、“みなし上下分離”だと運営経費、設備投資併せて年間3億7500万円の支出が見込まれる。国の交付金を活用しても、沿線自治体の年間負担額は約1億8400万円に膨れる見込みだ。

 バス転換した場合は運行経費と設備投資で年間約1億2000万円必要となり、沿線自治体の年間負担は現状より軽い約6400万円になる。しかし、朝夕の渋滞発生、通勤通学時間の増加、地域の魅力低下など別の問題が発生する。

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