旅の醍醐味はハプニング? 計画通りに行かないから面白い…旅情を深める「アクシデントのススメ」とは【リレー連載】現代人にとって旅情とはなにか(5)
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スマートフォンの普及で旅の「目的」達成は容易になったが、その「過程」の偶発性は薄れつつある。アクシデントや予期せぬ発見が旅の記憶を豊かにする一方、効率化が「旅情」を損なう可能性もある。事前情報を抑え、偶然を楽しむ余地を残すことが、現代の旅をより魅力的にする鍵かもしれない。果たして、テクノロジーは旅の本質を変えてしまったのか──。
旅の「過程」の平板化

ただ、すべて前もって調べておけばより楽しい旅になったかといわれれば、そうではないと思う。この北陸旅行は、さまざまなアクシデントがあったからこそ、数多い旅行のなかでも記憶に残っている。
このときは少し前に京福電鉄が衝突事故を起こして運行停止となっており、福井に入ってからもまったく予定通りに移動できなかったが、だからこそ友人とどうしようか考えて、バスに乗ったりタクシーに乗ったりして移動した。まさに丸岡城などの「目的」だけでなく、そこに至るまでの「過程」が印象に残る旅となったのだ。
もっとも、現在であればこうしたアクシデントは事前に回避できたかもしれない。ほとんどの人の手にはスマートフォンがあるからだ。例えば、丸岡駅を降りて、バスもタクシーもないことに気付けば、すぐにスマートフォンで調べて隣の駅からバスが出ていることに気付けたり、あるいは配車アプリでタクシーを呼ぶこともでできたかもしれない。京福電鉄の運行停止ももっと早い時点で気づいただろう。
スマートフォンの登場によって、私たちはより効率的に「目的」に辿り着くことができるようになったといえるだろう。一方で、スマートフォンの普及によって、旅の「過程」の部分についてはより平板になったともいえる。
もちろん、こうした感覚は人によって違い、アクシンデントはストレスにしからならないという人もいるだろう。また、同じアクシデントでも、ひとり旅のときに巻き込まれた場合と子連れの旅行で巻き込まれた場合では、それを「楽しめる」かどうかというのは大きく違ってくるだろう。