旅の醍醐味はハプニング? 計画通りに行かないから面白い…旅情を深める「アクシデントのススメ」とは【リレー連載】現代人にとって旅情とはなにか(5)

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スマートフォンの普及で旅の「目的」達成は容易になったが、その「過程」の偶発性は薄れつつある。アクシデントや予期せぬ発見が旅の記憶を豊かにする一方、効率化が「旅情」を損なう可能性もある。事前情報を抑え、偶然を楽しむ余地を残すことが、現代の旅をより魅力的にする鍵かもしれない。果たして、テクノロジーは旅の本質を変えてしまったのか──。

地方観光の移動問題

七尾城(画像:写真AC)
七尾城(画像:写真AC)

 筆者(山下ゆ、書評ブロガー)は今から20年以上前の2001(平成13)年に友人と北陸旅行をし、金沢の兼六園、七尾城、丸岡城、永平寺、東尋坊、一乗谷といったところを回ったが、記憶に残っているのはそこに辿り着くまで、またはそこから帰ってくるときの苦労である。

 まず、七尾城では、行きはタクシーで行ったので何の問題もなかったものの、帰ってくるのに苦労したのが思い出となっている。七尾城は上杉謙信ですら攻めあぐねた山城だが、行ってみると想像以上の「山」であり、登って行く途中にあった「馬揃え」なども「こんなところに馬が来れるのか…?」と思うくらいの険しい山を利用した城だった。

 問題だったのは山から降りる帰り道だった。滝があるというのでそこを見て帰ろうと行きとは別ルートで下り始めたが、案内板の先を見ると途中で道がなくなっており、どう考えても先には進めないような状態だったのだ。結局、滝をあきらめて山を降りることを優先し、無事に降りてくることができたが、帰り道はちょっとした冒険のようで記憶に残っている。

 翌日、丸岡城に行った際は、当然ながら丸岡駅から行くのが近いのだろうと駅に降りたら、バスのダイヤが全然なく、さらにタクシーも駅前には1台もなかった。結局駅から炎天下の中を1時間近く歩くことになった。

 城自体は江戸時代以前に作れた現存している数少ない天守閣ということで、見どころも多く楽しめたが、見終わった後に実は丸岡駅の隣の芦原温泉駅からバスがたくさん出ていることを知った。それを知っていればこんな苦労はしなかったのに……と思ったことを覚えている。

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