なぜジェットブルー航空は「全米5位」に急成長できたのか? LCCなのに豪華シートで無料Wi-Fi……その成功の秘密とは?
ジェットブルー航空は、LCCと大手航空会社の間で独自のポジションを築き、低価格と高品質サービスを両立。創業からわずか30年で米国内5位の規模に成長するも、近年の業績悪化とネットワーク拡大の課題を抱えている。しかし、革新的なビジネスモデルとテクノロジーへの投資が航空業界に新たな価値を提供し続けている。
低コストで実現する上質なフライト体験

ジェットブルー航空の特徴は、LCCの低価格とフルサービスを両立している点だ。創業当初から、高級感のある革張りシートや無料の飲み物サービス、機内エンタメ設備を備えるなど、他のLCCとは一線を画している。部分的には、大手航空会社を上回るサービスも提供している。
2017年には全席に無料Wi-Fiを導入し、サービスの充実に力を入れている。一方で、機材はエアバスA320シリーズとエンブラエルE190に統一。他の航空会社が大西洋路線でエアバスA330やA350、ボーイングB787、B777などを利用するのに対し、ジェットブルー航空は国内線と同じ機材を活用してコストを抑えている。この徹底したコスト管理は、サウスウエスト航空のLCC戦略を受け継いだものといえる。
また、米国東海岸を中心に短距離路線のネットワークが充実しており、ビジネス需要が高い路線も多い。そのため、
「安い運賃と高品質サービスで差別化したものの、顧客がレジャー客に偏り収益が上がらない」
といったエアベルリンのような失敗を避けているのも特徴だ。
さらに、ジェットブルー航空ではビジネスクラス相当の座席「Mint(ミント)」や独自のマイレージプログラム「TrueMile」を展開し、収益増とリピート客の確保に積極的だ。航空連合には加盟していないが、日本航空をはじめ東海岸路線を持つ海外航空会社と提携し、他国からの乗り継ぎ需要も取り込んでいる。
米国東海岸やフロリダ州など人口規模が大きい地域で、富裕層や海外客を含む幅広い顧客層に支持されている。豊富なネットワークと高品質なサービスが、多くの旅客にとって選ばれる理由であり、ジェットブルー航空のビジネスを持続可能なものにしている。