なぜジェットブルー航空は「全米5位」に急成長できたのか? LCCなのに豪華シートで無料Wi-Fi……その成功の秘密とは?
ジェットブルー航空は、LCCと大手航空会社の間で独自のポジションを築き、低価格と高品質サービスを両立。創業からわずか30年で米国内5位の規模に成長するも、近年の業績悪化とネットワーク拡大の課題を抱えている。しかし、革新的なビジネスモデルとテクノロジーへの投資が航空業界に新たな価値を提供し続けている。
テロ逆風を越えた成長戦略

ジェットブルー航空が就航して1年後の2001年9月11日、同時多発テロが発生した。この影響で多くの航空会社が経営不振に陥り、大手航空会社は機内食の廃止などサービスの簡素化を進めたが、ジェットブルー航空は充実したサービスを武器に顧客を獲得していった。
2004年には、後に拠点となるボストンやオーランドへの路線を開設し、さらに初の国際線としてドミニカ共和国サンチアゴへの運航を開始。その後、東海岸を中心にネットワークを拡大した。2008年にはオーランドからコロンビアのボゴタへの路線を開設し、南米市場にも進出した。
大西洋を超えられる小型機エアバスA321LRを導入し、2021年以降は、ニューヨーク~ロンドン(ガトウィック)線を皮切りに欧州路線の展開を加速。一方で、西海岸ではロサンゼルス郊外のロングビーチ国際空港を拠点としていたが、2020年に撤退。その後は東海岸のニューヨークやボストン、フロリダ各地からの大陸横断路線を中心に運航している。2025年現在、ジェットブルー航空は米国内を中心に、
・カナダ
・メキシコ
・中南米
・カリブ海諸国
・欧州
を含む100以上の空港に就航している。大手3社(ユナイテッド航空、アメリカン航空、デルタ航空)やサウスウエスト航空に次ぐ全米5位の航空会社となっており、その規模は圧倒的だ。
大手3社が戦前からの歴史を持ち、サウスウエスト航空も1960年代からの長い歴史を誇るなか、創業から30年に満たないジェットブルー航空がここまで成長したのは驚異的といえるだろう。