なぜジェットブルー航空は「全米5位」に急成長できたのか? LCCなのに豪華シートで無料Wi-Fi……その成功の秘密とは?

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ジェットブルー航空は、LCCと大手航空会社の間で独自のポジションを築き、低価格と高品質サービスを両立。創業からわずか30年で米国内5位の規模に成長するも、近年の業績悪化とネットワーク拡大の課題を抱えている。しかし、革新的なビジネスモデルとテクノロジーへの投資が航空業界に新たな価値を提供し続けている。

LCC先駆者が築く新たな成功モデル

ジェットブルー航空のロゴ(画像:JetBlue Airways)
ジェットブルー航空のロゴ(画像:JetBlue Airways)

 ジェットブルー航空は1998年にブラジル系米国人のデビッド・ニールマンが「ニューエア(New Air)」として設立し、2000年にニューヨーク(ジョン・F・ケネディ空港)~フロリダ州フォートローダーデール間で運航を始めた。ニールマンは、1980年代にモリス・エア、1990年代にウエストジェットを設立した格安航空会社(LCC)の先駆者といえる人物だ。

 モリス・エアは、史上初めて電子航空券を発行したことで知られる。その後、LCC最大手のサウスウエスト航空に買収されたが、サウスウエスト航空はモリス・エアの電子航空券システムを引き継ぎ、自社のコスト削減に役立てている。一方、ウエストジェットはカナダ最大のLCCへと成長し、大型機を導入してアジアやヨーロッパにも進出している。カルガリーから成田空港への路線も持っており、知っている人も多いだろう。

 ニールマンは、LCCの経営に携わるなかで「サービスを簡素化してコストを削減することで安い運賃を実現する」というサウスウエスト航空のビジネスモデルを尊重しつつも、高品質なサービスを提供する航空会社を目指すようになった。こうして設立したのが、ジェットブルー航空の前身「ニューエア」だ。

 ニューエアは、格安運賃で市場に参入しつつ、革張りの座席を全席に採用し、機内エンターテインメント設備を完備するなど、高水準のサービスを提供することで他社との差別化を図った。さらに、無料で飲み物やスナックを配布する充実したサービスも導入し、独自の地位を築いていった。

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