羽田アクセスは未定? 私が東急電鉄「新空港線」という名称に疑問を抱く根本理由
2025年1月、東急電鉄が新空港線構想を国に申請。蒲田駅と京急蒲田駅を結ぶ800mの鉄道接続計画が実現すれば、羽田空港アクセスに加え、多摩川線沿線の利便性向上が期待される。大規模な地下化工事を伴うこの計画は、地域の再生と交通利便性の向上を目指している。
東西交通の向上と広域連携

実は、大田区が描く将来構想には「蒲田ひとり勝ち」という発想はない。むしろ、多摩川線沿線全体の利便性向上という明確な狙いが見て取れる。
大田区は「大田区鉄道沿線まちづくり構想」のなかで、新空港線整備による効果を三段階に分けて説明している。まず「直接的効果」として、「区内の東西交通の移動利便性が向上する」ことを第一に挙げ、「災害時の代替ルートの役割も担う」としている。
次に「新空港線につながる鉄道沿線への波及効果」として、「産業の活性化」や「新産業の創出」を期待している。さらに広域的な波及効果として、「生活利便性の向上」「安全・快適・便利な『駅まち空間』の形成」など、地域全体の発展を目指している。
羽田空港へのアクセス改善が注目されがちだが、実は新空港線の本質はそこだけにあるわけではない。大田区鉄道沿線まちづくり構想を見ると、羽田空港へのアクセスは、この路線がもたらす多くの効果のひとつに過ぎないことがわかる。
むしろ区が重視しているのは、まず区内の東西交通を改善し、その上で渋谷方面との新たなつながりを築くこと。さらには埼玉方面まで広域的なネットワークを実現する視野も持っている。その後の話として、羽田空港へのアクセスが位置づけられている。つまり、羽田空港へのアクセスは最大の目標ではないのだ。
この視点で見ると、「新空港線」の真の狙いは、京急蒲田駅までの路線整備をベースに、蒲田から多摩川線経由で渋谷まで乗り換えなしで行ける路線を確保することにあるといえる。前述のプレスリリースで「一部列車については多摩川駅から東横線に乗り入れを想定」と言及されていることからも、これは実現する可能性が高い。