「赤字確実」「TSMCの無駄遣い」 熊本県の架橋構想「八代・天草シーライン」は県の「南北格差」を解消できるか? 事業費なんと800億円という現実
- キーワード :
- 道路, 八代・天草シーライン
九州フィナンシャルグループが発表したTSMCの進出による熊本県経済効果は、10年間で11兆2000億円規模に達するとされ、県南地域の振興策として「八代・天草シーライン」構想が進行中。八代市と天草諸島を結ぶ約8.8kmの架橋が、南北格差の解消と観光・経済活性化に期待されている。
天草五橋が生んだ航路消滅の波

天草諸島は、かつて島内の道路整備が遅れていたため、本土の都市と島の港を結ぶ多くの航路が存在していた。
しかし、1966(昭和41)年に天草五橋が完成し、本土と橋でつながるようになると状況が一変する。この橋は需要が非常に大きく、1975年には早くも償還を終えて無料化された。その結果、各地を結んでいた航路は次第に縮小し、八代港と合津(上天草市)を結ぶ航路も2013(平成25)年に廃止された。
一方で、天草諸島の富岡港(苓北町)と長崎市を結ぶ航路は、事業者が撤退したものの、長崎大学病院への通院に必要だという地域の強い要望があり、地元企業の出資で設立された新会社によって存続している。これに対して、八代~天草間の移動にはそのような需要を支える動きが見られない。こうした背景を考えると、架橋に否定的な意見が出るのも無理はないだろう。
しかし、この計画には、単なる交通利便性の向上以上の意義がある。その意図を理解するために、まずは八代市という都市の価値に目を向けてみよう。