ローカル鉄道維持の敵は誰だ? 千葉県「低輸送密度路線」を巡った経営学者が見た、鉄道活性化を阻む社会構造の正体

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2024年11月、JR東日本が久留里線久留里~上総亀山間の廃止を発表した。少子高齢化やモータリゼーションの進行により、地方鉄道の存続が厳しい状況となっている。地域公共交通の再構築が急務であり、持続可能な交通体系の構築が求められている。

公共交通が変革をもたらす未来

木更津駅西口富士見通り商店街のアーケードは老朽化が激しく、2025年3月までの予定で撤去作業が進む.jpg作業が進む。2025年1月8日撮影(画像:大塚良治)
木更津駅西口富士見通り商店街のアーケードは老朽化が激しく、2025年3月までの予定で撤去作業が進む.jpg作業が進む。2025年1月8日撮影(画像:大塚良治)

 車中心の社会を変えるのは簡単ではない。しかし、地道な努力を重ね、成果を上げた地域も存在する。例えば、富山県における公共交通を軸としたまちづくりは、車依存の地域社会構造や市民の意識に一定の変革をもたらした。また、鉄道の持つ

「ポジティブなイメージ」

も無視できない。只見線や三陸鉄道線などの被災路線が復旧されたのは、“復興の象徴”としての役割が高く評価されたからだ。肥薩線八代~人吉間やくま川鉄道湯前線人吉温泉~肥後西村間も復旧が決定しており、肥薩線については、2024年度末に八代~人吉間が復旧し、その後残る不通区間である人吉~吉松間の協議が進められる見込みだ。これらの例は、鉄道が単なる会計上の採算だけでは測れない価値を持つことを地域や社会が認識し、鉄道事業者を動かした結果である。

 小湊鉄道線を訪れた際、列車や駅を熱心に撮影する外国人グループが目立った。鉄道網の存続は観光振興や地域活性化に大きな貢献をもたらす。鉄道が存続することで、自動車利用者や地域に渋滞緩和や交通事故の減少などの恩恵がもたらされる。

 地域や鉄道も、取り組み次第でピンチをチャンスに変えることができる。2014年に「消滅可能性都市」に指定された896自治体のうち、

「239自治体」(27%)

がそのリスクを脱却した(日本経済新聞(電子版)』2024年6月22日付け)。各自治体の危機感が変革を促した成果であり、消滅可能性路線も同様に、「持続可能性路線」に変わる可能性がある。

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