ローカル鉄道維持の敵は誰だ? 千葉県「低輸送密度路線」を巡った経営学者が見た、鉄道活性化を阻む社会構造の正体
2024年11月、JR東日本が久留里線久留里~上総亀山間の廃止を発表した。少子高齢化やモータリゼーションの進行により、地方鉄道の存続が厳しい状況となっている。地域公共交通の再構築が急務であり、持続可能な交通体系の構築が求められている。
消滅路線を防ぐ地方の連携

小湊鉄道線の乗車記に話を戻そう。養老渓谷駅を出発し、夜は「森のイルミネーション2024」のイベント会場・市原市市民の森(いちはらクオードの森)に向かった。
会場の最寄り駅である月崎駅から徒歩で向かう途中、駐車待ちの長い車列に出くわした。このイベントでは入場料と駐車料が無料になっており、自動車利用者には大きなメリットがある一方で、鉄道利用の促進にはつながっていない。
こうしたイベントは本来、鉄道利用を増やす絶好のチャンスだ。車での来場者を減らせば、駐車待ちの車列や交通事故のリスクを減らすことにもつながるだろう。たとえば、小湊鉄道線のきっぷを持つ来場者にノベルティを配布するなど、鉄道利用を促進する施策が求められる。また、主催者である行政には、小湊鉄道線を利用しての来場をPRする取り組みを強化してほしいところだ。
他にも活性化が急務な路線は他にも多く存在する。千葉県内では、実に4分の1を超える線区が1日輸送密度4000人未満という状況にある(表を参照)。
民間の有識者グループ「人口戦略会議」は、全国の自治体の4割が「消滅可能性自治体」に該当すると分析しているが、輸送密度が低い鉄道路線も同様に「消滅可能性路線(線区)」に陥る危険性がある。ただし、貨物輸送を兼ねて採算を確保できている路線では、存廃論議が起きにくいと考えられる。
交通まちづくり戦略会議の高橋貴之理事(名古屋大学博士(経済学))は、
「成田国際空港を擁する千葉県で鉄道路線の多くの存続が危ぶまれる状況を放置することは、対外的にもマイナスの印象を与えかねない」
と指摘している。千葉県と沿線自治体は、できる限り早急に鉄道事業者と対話を重ね、協力関係を深めてほしい。