ローカル鉄道維持の敵は誰だ? 千葉県「低輸送密度路線」を巡った経営学者が見た、鉄道活性化を阻む社会構造の正体
輸送密度4000人未満の試練

2023年10月1日施行の「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律」(令和5年4月28日法律第18号)(以下、改正法)では、以下の条件を満たす鉄道路線について、自治体や鉄道事業者が国土交通大臣にローカル鉄道のあり方を協議する「再構築協議会」の設置を要請できるようになった(第29条の3)。
・2以上の都道府県の区域にわたるものまたは1つの都道府県の区域内にのみ存する路線で他の路線と接続して2以上の都道府県の区域にわたる鉄道網を形成するものの全部又は一部の区間
・輸送需要の減少その他の事由により大量輸送機関としての鉄道の特性を生かした地域旅客運送サービスの持続可能な提供が困難な状況にある区間(本稿では以下、該当区間と呼ぶ)
提言の内容の核心部分は、この改正法にほぼそのまま取り入れられている。
同年6月30日、国土交通省が公表した『最終とりまとめ~地域公共交通の「リ・デザイン」の実現に向けた新たな制度的枠組み等に関する基本的な考え方~』では、
「地域の多様な関係者の共創(連携・協働)を強化し、地域公共交通をリ・デザインすることが必要である」
と記されている。
また、改正法の施行に先立ち、同年8月31日には「地域公共交通の活性化及び再生の促進に関する基本方針」(令和5年総務省告示・国土交通省告示第2号)(以下、基本方針)が公表された。この基本方針では、再構築協議会での協議開始後3年以内を目安に、地方公共団体と鉄道事業者が合意の上、再構築方針を作成すべきであること(四1(6))、そして、該当区間の判断基準としては、旧国鉄再建特措法に規定する輸送密度4000人未満の区間であるか否かが目安となる旨が明記された(三1(5)および四1(1)②)。
再構築協議会の第1号として、岡山県と広島県を結ぶ芸備線が選ばれ、協議が開始された。