ローカル鉄道維持の敵は誰だ? 千葉県「低輸送密度路線」を巡った経営学者が見た、鉄道活性化を阻む社会構造の正体
2024年11月、JR東日本が久留里線久留里~上総亀山間の廃止を発表した。少子高齢化やモータリゼーションの進行により、地方鉄道の存続が厳しい状況となっている。地域公共交通の再構築が急務であり、持続可能な交通体系の構築が求められている。
筆者の意見 その2

鉄道利用を減らしている要因は、マイカーだけではない。高速バスもそのひとつだ。
例えば、木更津市では高速バスの路線図をウェブサイトに掲載しており、これを基幹的な公共交通として位置付けていることがうかがえる。
また、木更津市に関しては、「三井アウトレットパーク木更津」の開業が同市の人口をV字回復させたという報道もある(『朝日新聞デジタル』2022年12月18日付け)。このアウトレットは都内などと直結する高速バスの発着地でもある。
アウトレットが立地する金田地区は「かずさアクアシティ」としてまちづくりが進められ、新しい住宅も増えている。行政も、木更津金田バスターミナル(BT)から高速バスを利用しやすい点を強調している。
近隣の袖ケ浦BTには広大な駐車場も併設されており、鉄道を使わずとも都内などへ高速バスで便利に移動できる環境が整っている。さらに、木更津市の内房線より内陸側のエリアでは、袖ケ浦BTのほうが木更津金田BTより近い場合も多い。
また、木更津市清見台団地周辺は鉄道駅から遠いエリアだが、大型商業施設やレストラン・カフェ、金融機関などが集まり、都内と直結する高速バスの停留所も設けられている。一方で、市の中心部である木更津駅前には、まとまった買い物ができる商業施設が少ない。
鉄道事業者が運営する高速バスは、グループ全体としては収益をもたらしているものの、鉄道路線単体の経営や存続の観点から見ると、鉄道と並行する高速バスが鉄道の基盤を脅かしている一面もある。