EV改革を加速させるか? 日本発の新素材「HLMET」が電磁鋼板市場に挑む!

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ネクストコアテクノロジーズが開発した次世代型コア材「HLMET」は、鉄損を従来の10分の1に低減し、高性能モーターの効率を大幅に向上。2025年から量産開始予定で、急成長するEV市場への貢献が期待される。

2030年に13兆円規模へ成長

磁束密度と磁化力と透磁率(画像:JFEスチール)
磁束密度と磁化力と透磁率(画像:JFEスチール)

 電磁鋼板の市場は現在成長を続けており、特に世界的なEVシフトやHVへの移行によって、今後さらに拡大すると予測されている。

 電磁鋼板は家電製品や変圧器などさまざまな分野で使用されているが、EVシフトにより自動車分野での需要が急増し、市場規模も急速に拡大している。現在、EVシフト自体は市場の冷え込みからやや勢いを失いつつあるが、代わりに電動車の部分強化が進んだHVやプラグインハイブリッド車が注目されており、電磁鋼板の需要は依然として高水準を維持している。

 市場調査レポート販売のグローバルインフォメーションの分析によると、電磁鋼板の市場規模は2023年に517億6000万ドル(約8兆2000億円)に達し、2030年には

「820億5000万ドル(約12兆9700億円)」

まで拡大すると予測されている。鉄鋼業界は市場の変動が激しいが、この分野は確実に成長が見込まれている。

 日本の鉄鋼メーカーである日本製鉄やJFEスチールも電磁鋼板の製造を行っており、特に日本製鉄は高い技術力と製造規模で知られている。日本製鉄は2023年に電磁鋼板の増産計画を発表しており、2027年には電動車向けの電磁鋼板の生産規模を現行の約5倍にする予定だ。また、世界中の鉄鋼メーカーも電磁鋼板の生産を拡大しており、この分野が鉄鋼業界の新たな収益源となることが予想される。

 このような市場の動向と急速に高まる需要が、ネクストコアテクノロジーズがHLMETの量産化を急いでいる大きな要因と考えられる。日本発の高性能素材が、今後電磁鋼板市場にどのように広がっていくかが注目される。

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