EV改革を加速させるか? 日本発の新素材「HLMET」が電磁鋼板市場に挑む!
ネクストコアテクノロジーズが開発した次世代型コア材「HLMET」は、鉄損を従来の10分の1に低減し、高性能モーターの効率を大幅に向上。2025年から量産開始予定で、急成長するEV市場への貢献が期待される。
電磁鋼板性能向上がモーター性能向上に直結

HLMETは電磁鋼板を進化させた新しい素材として注目されているが、現在もEVやHVのモーターにおいて重要な役割を果たしている電磁鋼板の存在は欠かせない。
電動車用モーターは内燃機関のエンジンと比べて非常にシンプルな構造をしており、主な部品はモーター内部で回転するローター(回転子)と、その周囲で固定されているステーター(固定子)という鉄心部分だ。ステーターにはコイルが巻かれており、コイルに電流を流すことで磁束が発生し、この磁束がモーターの回転力を生み出している。この磁束はローターとステーターの内部を通り、強い磁力を発生させ、モーターのコア部分を形成している。
モーターコアに使用される素材では、磁束を通しやすい「透磁率の高さ」が重要だ。電磁鋼板は鉄にシリコンなどを加えることで透磁率を高め、モーターの性能を向上させている。また、モーターコアを通る磁束はヒステリシス損や渦電流損といった損失を発生させ、これを「鉄損」と呼んでいる。鉄損はモーターの効率を下げる要因となるため、電磁鋼板には鉄損を低減させる性能が求められる。
モーターコアは薄板の電磁鋼板を積層して作られており、その加工性やプレスでの打ち抜きのしやすさも重要な要素だ。モーターコア自体はシンプルな金属の集合体に見えるが、透磁率や鉄損の性能がモーターの効率や性能に大きく影響する重要な部品となっている。
電磁鋼板の性能向上はモーターの性能向上に直結し、HLMETのような新素材が注目されている理由だ。