「夜行新幹線」は実現できるか? 高速バスとの競合、貨物新幹線との連携! 可能性と課題を考える【連載】夜行列車現実論(5)
夜行移動で時間効率化

夜行高速バスは、平成時代以降、運賃が安いことから人気を集め、各地で成功を収めた。しかし、ビジネスパーソンにとっては、移動時間を睡眠に充てることで効率的に活動できる点が大きな魅力だ。筆者の周りでも、このメリットを実感している人が多い。また、ドリームスリーパーのような全個室型や、鉄道のグリーン車のようなプレミアムシートは予約が取りづらいため、お金を払ってでも夜間に移動し、
「生活の時間効率」
を上げたいと考える人々も少なくない。夜行移動の選択肢を増やし、低価格から高級路線まで鉄道やバスなどで提供することは意味があると考える。
次に、経済的な効率と収益性を見てみよう。たとえば、東京~博多間の移動に関して、西鉄の夜行高速バス「はかた号」のプレミアムシートは、ウェブ予約やオンライン決済、コンビニ発券でダイナミックプライシングが適用され、1万8000円から2万5000円の価格帯で提供されている(ビジネスシートは9000円から2万円)。窓口発券では、プレミアムシートが2万5000円、ビジネスシートは2万円だ。往復の場合、最安3万6000円から最大5万円となる。
一方、東京から博多までのぞみの普通指定席を利用すると、5時間弱で2万3810円、往復なら4万7620円だ。はかた号のプレミアムシートより若干安い価格だが、
「ビジネスホテルの宿泊費」(博多地区でも1泊1万2000円から1万6000円)
が高騰していることを考えると、5万円から5万5000円程度であれば、夜行新幹線も十分に競争力を持つ選択肢となるだろう。特に、はかた号のように
・15時間弱の移動時間
・身体的な疲労
を考慮すると、夜行新幹線の選択肢は十分に検討に値する。ただし、夜行専用の新幹線車両を整備するにはコストがかかるため、2列ひとり席や、3列をS-Work対応のように2分割する形の効率的な座席配置が望ましい。また、グリーン席は夜行時のみ2列ひとり席として運用する方法が考えられる。