熊本市電、なぜ重大インシデントが多発? 「人手不足」「劣悪労働環境」が招いた当然の結果? 乗客の安全はいずこへ

キーワード :
,
熊本市電は2024年に、全国で発生した4件の重大インシデントのうち3件が発生し、運転手不足や安全管理体制の不備が明らかになった。これらの危険な事象や過酷な労働環境に対し、熊本市は改善に向けた具体的な対策を進めているが、路線網の拡大と賃金改善が課題となっている。

熊本市電で相次ぐ重大インシデント

熊本市電のある風景(画像:写真AC)
熊本市電のある風景(画像:写真AC)

 2024年中に国土交通省の運輸安全委員会が調査した鉄道の重大インシデントは全国で4件。そのうち3件が熊本市交通局が運営する熊本市電で発生している。多くの鉄道事業者の中で、たったひとつの路面電車でこれほど多くが発生するのは異例の出来事だ。

 2024年に熊本市電で発生した重大インシデントは次の3件だ。

●2024年01月05日:水前寺線 交通局前停留場~味噌天神前停留場間
 停留所を出発する際にドアが開いたまま走行

●2024年02月23日:上熊本線 段山町停留場~蔚山町停留場間
 走行中にドアが開き、車両が停止

●2024年09月02日:水前寺線 新水前寺駅前停留場構内
 停留所を出発した直後にドアが開き緊急停止

いずれも負傷者はなかったが、いずれも危険性の高い事例だ。

 1月5日に関しては、既に調査報告書が公開されており、ドアの開閉検知スイッチが誤って取り付けられていたため、ドアが開いている状態なのに閉じていると検知されていたことが原因だと指摘されている。また、運転手が確認を徹底せずに出発したことも原因となっている。

 熊本市電では、これら3件以外にも信号の見落としや脱線など、重大な事故につながりかねない事象が相次いで発生しており、2024年9月には、九州運輸局から改善指示が出される事態となっている。

全てのコメントを見る