熊本市電、なぜ重大インシデントが多発? 「人手不足」「劣悪労働環境」が招いた当然の結果? 乗客の安全はいずこへ
熊本市電は2024年に、全国で発生した4件の重大インシデントのうち3件が発生し、運転手不足や安全管理体制の不備が明らかになった。これらの危険な事象や過酷な労働環境に対し、熊本市は改善に向けた具体的な対策を進めているが、路線網の拡大と賃金改善が課題となっている。
延伸計画の進展

この問題を解決するため、熊本市はすでに路線延伸に取り組んでいる。
現在進められている延伸計画では、東端の健軍町停留所から約1.5km延伸し、熊本市民病院の利用者の利便性向上を目指している。全線開通は2031年を目標としている。このほかにも、熊本市では複数の延伸プランが示されており、これらは公共交通の再編にとって重要なものだ。さらに、
「熊本電鉄の相互乗り入れ」
も期待されている。現在、両者は上熊本駅で乗り換えが可能だが(停留所と駅の間は約80m)、相互乗り入れには至っていない。そこで、熊本電鉄を次世代型路面電車(LRT)化し、相互乗り入れを実現する計画もある。
熊本電鉄は、熊本市と隣接する合志(こうし)市を結ぶ路線で、合志市ではTSMCの進出にともない、関連工場が増加している。しかし、これにより深刻な渋滞問題も発生している。合志市は、セミコンテクノパークや光の森駅周辺の開発も進んでおり、すでに渋滞の問題があったが、TSMCの特需でさらに悪化している。地域の発展を支えるためには、この渋滞問題を解決する必要がある。
現在、荒木義行市長は、専用道を持つBRTの導入や、熊本電鉄と豊肥本線の接続による環状線化構想に言及している。合志市は、菊陽町と接するニュータウンで開発が進んでおり、今後も人口増が見込まれている。現状では、熊本電鉄は平日日中に1時間に2本程度の運行しかないが、LRT化して熊本市内に直接乗り入れるようになれば、その利便性は大きく変わるだろう。
これらの延伸や再編が実現すれば、十分な収益を得ることができ、熊本市電の問題は解決に向かうだろう。まずは待遇改善、次に路線延伸を実現し、街の将来のために投資を惜しまないことが重要だ。