熊本市電、なぜ重大インシデントが多発? 「人手不足」「劣悪労働環境」が招いた当然の結果? 乗客の安全はいずこへ
熊本市電は2024年に、全国で発生した4件の重大インシデントのうち3件が発生し、運転手不足や安全管理体制の不備が明らかになった。これらの危険な事象や過酷な労働環境に対し、熊本市は改善に向けた具体的な対策を進めているが、路線網の拡大と賃金改善が課題となっている。
過酷な労働環境が生む危険

さらに深刻なのは、運転手たちから「どうせいっても対応してもらえない」といった諦めの声が上がっていることだ。このように、労働環境の改善を求める声すら封じ込められている現状は、低賃金と過密労働が職場の荒廃を引き起こし、その状況がいかに深刻かを示している。そして、労働環境の劣化が安全運行を脅かす根本的な原因となっているのだ。
過酷な労働環境にもかかわらず、賃金の低さがさらに職場の荒廃を加速させている。熊本市電では、2004(平成16)年度から人件費抑制を目的に
「正規職員の採用」
を中止し、現在は一部の再任用を除き、全員が1年ごとに契約更新される会計年度任用職員となっている。熊本市電の「令和5年度事業年報」によれば、常勤職員(再任用職員を含み特別職を除く)の平均年収は500万円だが、会計年度任用職員の年収は317万円となっている。熊本県の資料「熊本県における賃金等の動き 令和5年度版」によれば、2022年の男性一般労働者の平均年収は331万1000円で、全国29位である。
さらに問題なのは、この収入水準が超過勤務手当を含んだ金額であることだ。事業年報によれば、給与の内訳は以下の通りだ。
・基本給:203万円
・超過勤務手当:62万円
・その他手当:52万円
・合計:317万円
これを見ると、
「年収の約2割」
が超過勤務によって得られていることがわかる。つまり、残業をしないと十分な給与を得られない仕組みになっているのだ。待遇の悪さとインシデントの因果関係は明らかだといわざるを得ない。