東京メトロの成長加速、カギは「私鉄連携」なのか? 上場後に広がる収益多角化を考える
東京メトロの成長戦略は、2024年10月の上場を契機に非鉄道事業の拡大を加速。運賃以外の収入増や沿線開発を通じて収益源を多角化、企業価値向上を狙う。そのカギとなるのは定期外旅客運輸収入の増加と、私鉄やJRとの連携強化だ。
都営地下鉄一元化の現状と展望

2024年11月5日、有楽町線(豊洲~住吉)と南北線(白金高輪~品川)の新規区間の着工が発表された。有楽町線の新区間には途中駅が設けられる予定で、これにともない新駅周辺の開発が今後検討される見込みだ。魅力的な街づくりが進められることを期待したい。
今後、東京メトログループが沿線内外でまちづくりを拡大するためには、他の不動産会社への出資や企業の合併・買収(M&A)が選択肢となる。東京メトロの山村明義社長は日経新聞のインタビューで、「あまり手掛けてこなかったM&A(合併・買収)や出資を進めながら資本効率を重視した成長戦略を取るのが次期中計の骨格になる」と明言している(「日本経済新聞(電子版)」2024年10月24日付)。ただし、同社は
「現時点では具体的なM&Aや出資等に関する計画・構想はないが、他社の持つ知見や技術と、当社の持つ経営資源を組み合わせて共創することを通じて、新規事業の創出や鉄道事業の課題解決をより一層加速していきたい」(広報部)
との考えを示している。
M&Aの対象としては、都営地下鉄の事業取得などによる「経営の一元化」も考えられるが、東京メトロは「2021年の交通政策審議会でも議論はなされておらず、東京都の『東京地下鉄株式会社の株式の処分の基本的な考え方』においても一元化については触れられていないことから、テーマになっていない」と述べている。一方で、
「サービスの一体化については、利用者の視点に立って進めており、今後も都営地下鉄と協議しながら取組を進めていきたい」(広報部)
としている。