運賃交渉すれば“村八分”にされる? 荷主を過剰に気遣う中小運送の社長たち、本当に守るべきは誰なのか?

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現在、運送会社にとって運賃の値上げ交渉は避けられない状況だ。しかし、国交省の調査によると、運送会社のうち約13社に1社は、荷主への配慮から運賃交渉をためらっているという結果が出ている。

荷主を気遣うあまり交渉断念

物流トラック(画像:写真AC)
物流トラック(画像:写真AC)

 A社長のケースほど極端ではないが、運賃交渉をためらう運送会社は確かに存在する。例えば、2020年に相談を受けたB社長の会社では、地方から関東方面への長距離輸送を行っていた。

「運賃の値上げはしたいんです。でも、ウチの荷主は中小企業ばかりで、原油高でみんな経営が苦しくなっているなか、うちだけ運賃を値上げするのは、さすがにいい出しづらいんですよ」

とB社長は語った。おそらくB社長は優しすぎる人なのだろう。

「荷主さんたちを気遣うことも大切だと思います。でも、まずB社長が気遣うべきなのは、あなたの会社のドライバーや従業員ではないでしょうか?『荷主さんを気遣っているので、物価高でも君たちの給料は据え置きます』とか、さらに極論ですが『荷主さんを気遣っていたら会社が倒産しました』っていわれても、従業員は納得できないですよね」

 B社長に限らず、荷主の状況を考慮しすぎて運賃交渉を行わない運送会社は意外と多い。

 国土交通省が2024年6月28日に発表した「『標準的運賃』に係る実態調査結果の公表」では、

「71%」

の運送会社が荷主に対して運賃交渉を行った一方で、残りの29%は交渉を行っていないという結果が出ている。運賃交渉を行わない理由として最も多かったのは「取引が切られることが怖い」(47%)で、次に多かったのは

「荷主の経営状況を考慮した」(27%)

という回答だ。つまり、運送会社が13社あれば、そのうち1社は荷主に気を使いすぎて運賃交渉を行っていないことになる。

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