北陸新幹線「延伸」でも心配なし? 滋賀県「並行在来線」が経営分離されない、これだけの理由

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北陸新幹線の延伸にともなう並行在来線の問題について、滋賀県の湖西線と北陸本線は経営分離される可能性が低い。通勤需要や輸送密度が高く、JRが手放すことは難しいからだ。2023年度のデータも、利用実態を裏付けるものとなっている。また、国の運賃試算には懸念が残る。

JRにとってのネック

北陸新幹線米原ルート新大阪付近複々線化案時刻表上り15分サイクルリダンダンシー強化版(左)、北陸新幹線米原ルート新大阪付近複々線化案時刻表下り15分サイクルリダンダンシー強化版(画像:北村幸太郎)
北陸新幹線米原ルート新大阪付近複々線化案時刻表上り15分サイクルリダンダンシー強化版(左)、北陸新幹線米原ルート新大阪付近複々線化案時刻表下り15分サイクルリダンダンシー強化版(画像:北村幸太郎)

 並行在来線問題の他にもJRの利害関係の面ではどうなのかについても触れておきたい。ネット上には

「JR東海が嫌がっているから無理なものは無理」

といったヒステリック混じりな声が多いのだが、実は、JR東海としては線路容量さえ解決できれば北陸新幹線直通受け入れは、やぶさかではないようだ。

 これは滋賀県の資料に載っているが、2010(平成22)年当時のJR東海の山田社長は、

「中央リニアが開業すれば、東海道新幹線のダイヤに多少の隙間・余裕ができる。線路貸しといった形で東海道新幹線に入ってきてもらう仕組みは当然考えられる」(2010年12月9日付け日経新聞)

と述べている。ここで重要なのはJR東海にとって北陸新幹線受け入れに際しての課題は、運行管理システムでも輸送の安定性でもなく「線路容量」のみである点だ。だからリニア開業後なら受け入れられると表明しているのである。

 ただ、筆者としてはリニア開業でも便利になった分、東京~金沢のように流動のパイ自体が増えてそんなに余裕ができるとも思えないし、リニアがいつ大阪まで到達するのかも不透明だ。

 だからこそ、かねて示している新大阪~鳥飼車両基地間10kmの複々線化は必要で、これを北陸新幹線建設予算で整備を条件にJR東海に持ち掛ければ、検討の土台に載るのではないかと考えている。新大阪~米原間の直通運転全区間を複々線化すべきだとの声も多いが、同区間内での追い抜きは原則なしにできるので、単に入ってきた順に新大阪まで流せばよい。

 となれば、そこまでしなくても回送列車の流入で最も本数の多い鳥飼車両基地までの10kmを複々線化するだけで十分である。前回の米原ルートの場合の自治体の負担額予想には、この10kmの複々線化費用推定6000億円も加味して試算している。

 もうひとつ、リニア開業後ならJR東海が受けるメリットがある。リニアと北陸新幹線米原ルートとの組み合わせで、東京~福井間の需要が取れる点である。筆者試算では米原ルートで福井~名古屋間は乗り換え時間込みで最速52分。米原でスイッチバックによる直通運転ができれば46分にもできるだろう。

 一方、リニアの東京~名古屋間は40分の想定だ。すると名古屋での乗り換え時間を多めに取っても、東京~福井間は1時間40分程度と、現在の2時間51分から1時間以上も短縮される。こうなれば現在はいったん、北陸新幹線に取られてしまった東京~福井の流動を、JR東海は取り戻すことができるのだ。

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