北陸新幹線「延伸」でも心配なし? 滋賀県「並行在来線」が経営分離されない、これだけの理由
北陸新幹線の延伸にともなう並行在来線の問題について、滋賀県の湖西線と北陸本線は経営分離される可能性が低い。通勤需要や輸送密度が高く、JRが手放すことは難しいからだ。2023年度のデータも、利用実態を裏付けるものとなっている。また、国の運賃試算には懸念が残る。
新幹線の線路使用料にも左右されるのか
もうひとつ、JRが経営分離しないと判断する動機があるとすれば、「受益に応じた負担」とされる、新幹線の線路使用料が安くなるかどうかという点だろう。
受益に応じた負担とは、単に新幹線整備によって増収になる分が徴収されるのではなく、「新幹線を整備しなかった場合の既設在来線(経営分離予定区間とそうでない区間)の経費と利益」と「新幹線を整備した場合の既設在来線(経営分離予定区間を除いた分)を含めた経費と利益」の差額が線路使用料になるのだ。ということはふたつのケースに分かれる。
●特急を取り上げられても並行在来線が黒字の場合
この場合は経営分離しなければ、その分線路使用料が高くなる可能性があるということだ。といってもJRにとっては線路使用料が高くなっても切り離さなかった在来線の黒字で相殺できるので、プラスマイナスゼロな話だ。
●特急を取り上げられた並行在来線が赤字の場合
この場合は経営分離しない方が、受益が小さくなる分、線路使用料が安くなる。もちろん、線路使用料算定時から大きく利用が落ち込みそうならJRとしては手放したいだろうが、これが、赤字が微妙に増える程度で、線路使用料が下がる効果の方が大きいと判断されれば、並行在来線を経営分離しない動機にはなるだろう。要するに
「経費で利益を埋めて節税する」
のと同じ発想である。
そういった意味でも推定輸送密度が普通列車のみでも5000人/日・km程度ある北陸本線の近江塩津~米原間や、敦賀~近江塩津間のように普通列車のみの推定輸送密度が2200人/日・kmしかないが、距離は14.5kmと短い区間を手放す可能性は薄いのではないか。