「石破首相 = 軍事オタク」は本当か? 防衛知識ゼロの他政治家が国を守れるのか? 石破氏を長年知るジャーナリストが“真実”を語る

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石破政権が発足したが、党内には反発がある。防衛に関する知識を持つ少数の政治家のひとりとして、石破氏の実績には期待が寄せられる。しかし、知識が不足している政治家が多いため、彼の提言が偏見を受けるのは残念だ。政権の真価は党内の結束にかかっており、今後の動向に注目したい。

国産兵器礼賛の危険な落とし穴

P-1(画像:海上自衛隊)
P-1(画像:海上自衛隊)

 しかし、世の中の「軍オタ」や軍事マニアは

「好き」

を基準に判断している。彼らは防衛省や自衛隊が大好きだ。特に戦車や戦闘機、さらには国産兵器を好むため、それらが本当に高性能でコストに見合っているかどうかを冷静に疑うことができない。彼らは国産兵器が当然のように高性能で、たくさん調達するべきだと信じ込んでいる。そして自分たちが防衛省や自衛隊と

「一体化」

しているかのような感覚を持ち、疑問を持たずに信じてしまう。まるでアイドルを応援するファンと同じで、趣味と現実の国防を分けて考えることができないのだ。

 われわれ記者を含め、情報に関わる職業では、まず疑うことから始めなければ事実にはたどり着けない。しかし、彼らは国産兵器を盲目的に称賛し、装備にかかる費用や予算の優先順位を問題視しない。彼らには予算には限りがあることを理解せず、国産兵器の調達コストが他国の数倍でも気にしない。本来、コストが何倍もかかる時点で、その兵器は問題があるはずだ。

 このため、自衛隊に本当に必要なものは何か、優先順位はどうかといった視点で国産兵器に厳しい意見を持つ石破氏は、「軍オタ」たちには不人気だ。例えば、石破氏が防衛庁長官だったときにP-1(哨戒機)の開発に反対したことは、今でも批判されている。当時、石破氏はP-1が

・低性能
・高価格

になると予想していたからだ。しかし、内局や海上幕僚監部(海幕)に詰め寄られて、最終的には開発を認めざるを得なかった。官僚たちが一斉に反対することで、大臣は孤立無援化し、予算化を認めざるを得なくなるのだ。

 海幕は、機体、エンジン、システムすべてを新規に開発する方針をとった。米国ですら既存の双発旅客機である737をベースに開発していたにもかかわらず、海幕はエンジンを4発にし、整備コストを大幅に引き上げた。海幕は石破氏に対して

「4発のほうが双発に比べて生存性が高いです、長官にはそれがおわかりになりませんか」

と詰め寄ったが、石破氏は

「現場は信頼性の低い4発のよりも信頼性の高い双発がいいといいっていたのだが」

と筆者に後に語っている。

 確かに、同じ信頼性なら双発よりも4発のほうが信頼性は高い。しかし、信頼性の低い4発ではその理屈は通用しない。さらに、4発にすることでコストが高騰し、P-1の整備用パーツを十分に確保できないことも予想されていた。当時のP-3Cですら予算不足で部品を取り合う「共食い整備」を強いられていたので、それよりも維持費が何倍もかかるP-1ではなおさらだ。そして、現実にそのとおりになっている。

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