「石破首相 = 軍事オタク」は本当か? 防衛知識ゼロの他政治家が国を守れるのか? 石破氏を長年知るジャーナリストが“真実”を語る
石破政権が発足したが、党内には反発がある。防衛に関する知識を持つ少数の政治家のひとりとして、石破氏の実績には期待が寄せられる。しかし、知識が不足している政治家が多いため、彼の提言が偏見を受けるのは残念だ。政権の真価は党内の結束にかかっており、今後の動向に注目したい。
石破政権、初動評価は低迷
今週、石破政権が発足したが、その評価は散々だ。まだ始動もしていない政権がここまでたたかれるのは珍しいだろう。政権が注視され、批判されるのは常だが、石破茂氏と長年付き合いがあり、同氏との共著『軍事を知らずして平和を語るな』も出した筆者(清谷信一、防衛ジャーナリスト)から見ると、見当違いの批判も少なくないように思える。
現在、石破政権の地盤は盤石ではない。最大派閥の旧安倍派など、党内には多くの反対勢力が存在する。おそらく、今回の選挙後に党内の粛清を行い、党の結束を高めた後に、石破氏らしい政策が出てくるのではないだろうか。政権に対する評価は選挙後にすべきだと筆者は考えている。
2002(平成14)年、小泉内閣時代、石破氏が防衛庁長官を務めていたとき、防衛庁への意見を募集していた。その際、筆者が防衛省の海外見本市の視察に商社が同行するのは公平性の観点から問題があるとメールしたところ、驚くことに石破氏サイドからコンタクトがあった。ちなみに、その後、防衛省の視察に商社のアテンドが禁止になったが、いつの間にか復活している。
石破氏が筆者に興味を持ったのは、筆者が中心となってまとめた自衛隊の装備を検証する本で多くの問題を指摘していたからだ。石破氏は、その批判が本当かどうか防衛省のスタッフに調べさせたが、結果は
「ほとんど本当です」
というもので、筆者はがくぜんとした。その際、石破氏は以前から筆者に会いたいと考えていたとおっしゃっていた。それ以降、取材以外でもさまざまな意見や情報の交換を続けている。