「石破首相 = 軍事オタク」は本当か? 防衛知識ゼロの他政治家が国を守れるのか? 石破氏を長年知るジャーナリストが“真実”を語る
石破政権が発足したが、党内には反発がある。防衛に関する知識を持つ少数の政治家のひとりとして、石破氏の実績には期待が寄せられる。しかし、知識が不足している政治家が多いため、彼の提言が偏見を受けるのは残念だ。政権の真価は党内の結束にかかっており、今後の動向に注目したい。
防衛政策を左右する「軍事知識」の重要性

気高い安全保障を語る政治家は多いが、そのためには具体的な軍事の組織や装備に関する知識が必要だ。筆者は安全保障に関する知識を「首から上の知識」と呼び、具体的な兵器や装備に関する知識を「ヘソから下の知識」と位置づけている。本来、政治家はこの両方の知識を持っているべきだ。
防衛省が政策を決定し、実行するためには予算化が必要だ。この予算には上限と優先順位があるため、検証し、最終的に了承するのは政治家の仕事だ。しかし、そうした作業を行える政治家は日本にはほとんどいない。
他国では、政治家は納税者の代表として国防省や軍の予算の使い方を監視し、詳細に検証するのが一般的だ。例えば、米国ではF-22戦闘機の配備が1996年から750機の予定だったが、開発の遅れや冷戦の終結、さらには開発費や調達費の高騰により、最終的に187機に削減された。
また、米陸軍の装甲車両群を一新するはずだったFCS(Future Combat System)も将来的な運用に合致せず、価格の高騰からキャンセルされた。このような決定を下すのは政治家であり、軍隊自体はこのような見直しを行えない。したがって、政治家には一定の専門知識が求められる。
軍隊や自衛隊は官僚組織であり、自らの決定が間違っていた場合でもそれを認めることができない。その典型的な例が、袴田事件などの冤罪(えんざい)を何十年も認めない検察だ。かつての昭和の陸海軍も、自らの都合で政府を支配し、予算を決定した結果、国土を焦土にして敗北した。
このような悲劇を防ぐために、軍隊や自衛隊は国民が選んだ政治家によって統制される文民統制(シビリアンコントロール)が必要だ。文民統制を行うには、政治家が軍事に関する知識を持っていることが不可欠である。