ハイブリッド車って本当に経済的なのか? 高額なバッテリー交換もあるのに? 環境に良いのは十分理解していますが【リレー連載】ハイブリッド・ア・ゴーゴー!(11)

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2023年度のHVの販売台数は191万台を超え、国内の乗用車販売における比率が初めて50%を超えた。HVは経済性と環境への配慮が魅力で、燃費はガソリン車よりも約30%改善されている。初期費用は高いが、エコカー減税や燃料費の節約によって、トータルでのメリットが期待できる。トヨタ・プリウスなどの成功事例を踏まえると、HVの普及は今後も進んでいくと考えられる。

HVとガソリン車の比較

ガソリン車との比較(画像:トヨタのウェブサイトに掲載された情報に基づいて筆者作成)
ガソリン車との比較(画像:トヨタのウェブサイトに掲載された情報に基づいて筆者作成)

 ガソリン車とHVを比較して、経済的なメリットはどちらにあるかを「トヨタ・カローラ・Xグレード(2WD)」で見てみる。

 まず、車両価格について。HVの価格は241万8600円で、ガソリン車の202万8600円よりも39万円高い。これはバッテリーやハイブリッドシステムなどのコストが影響しており、一般的にはガソリン車と数十万円ほどの価格差がある。

 次に、HVにはエコカー減税が適用され、自動車重量税が免税または軽減される特例がある。これは現行制度で2025年4月末までの新規登録車に適用される。プラグインハイブリッド車やEVには自動車税の優遇措置があるが、HVは対象外だ。トヨタ・カローラの自動車重量税は全額免税となり、購入時には3年分で2万2500円が減税される。

 燃費効率についても見てみよう。トヨタ・カローラのカタログ燃費(WLTCモード)によると、

・ガソリン車:19.4km/L
・HV:30.2km/L

で、1L当たり約11kmの燃費差がある。全国平均のガソリン価格175円/Lで試算すると、年間で2万km走行した場合、HVは

「約6万4000円」

の燃料費を節約できる。仮に5年後にHVを手放した場合、エコカー減税と燃料費の合計で

「約34万円」

の節約となり、ガソリン車との差額である39万円に近くなる。

 ランニングコストについても考慮が必要だ。特に高額なメンテナンス費用がかかるのは

「バッテリー交換」

で、動力源となるモーターの駆動用バッテリーと、ハイブリッドシステムに電源を供給する補機バッテリーの2種類がある。これらの寿命は3年から5年、またはそれ以上で、交換費用は駆動用バッテリーが20万円~、補機バッテリーが3万円程度だ。

 標準的なガソリン車のバッテリー交換費用は1万円程度なので、メンテナンス費用の差は大きくなる。なお、バッテリーにはメーカー保証があり、3年から5年、または走行距離で最長10万kmの保証がある。通常のメンテナンスや一般的な故障頻度は、ガソリン車と大きな違いはない。

 最後に、リセールバリュー(再販価値)についても見ておきたい。HVは中古車市場でも高い評価を受けており、ガソリン車に比べてリセールバリューが高い傾向がある。HVの中古車価格は新車価格のガソリン車との差額以上のリセールバリューを持っているため、税制優遇や燃料費の節約を考慮すると、HVには経済的なメリットがあると考えられる。

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