旧「東京モーターショー」開幕まで1か月を切ったのに、全然盛り上がっていない根本理由

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2024年10月に千葉市で開催される「ジャパンモビリティショー・ビズウィーク2024」は、ビジネスマッチングに特化した新しい試みだ。しかし、注目度は低い。昨年の来場者数111万人からの低迷が心配されている中、スタートアップ150社を含む200社が出展を予定している。自動車業界の革新を促進し、次世代モビリティの創出に期待が寄せられている。

毎年開催となった根本理由

1960年代の東京モーターショー(画像:Project kei)
1960年代の東京モーターショー(画像:Project kei)

 JMS2023で毎年開催が決定したのは、当時の日本自動車工業会(自工会)の豊田章男会長が会期初日に提言したことがきっかけだった。

 会期の最終日には、豊田会長とタレントのマツコデラックスによるトークイベントが行われ、スタートアップ企業などついてのやりとりのなかで、マツコ氏が

「優れた技術でも2年に1回では遅れてしまうので、毎年開催するべき」

と提案した。これに対し、豊田会長は「次の(自工会)会長が決めることだが、検討したい」と答えた。その後、2024年1月1日に片山正則氏(いすゞ自動車会長)が自工会会長に就任したが、JMS2024の開催概要についての発表はしばらくなかった。

 さて、例年に比べて盛り上がりに欠けているように感じる理由のひとつは、今回の開催概要が従来と大きく異なり、

「ビジネスマッチング」

に特化しているからだ。ビジネスマッチングとは、企業や個人が互いにビジネスの機会を見つけるためのプロセスやイベントだ。参加者は、製品やサービスの提供、パートナーシップの形成、新しい顧客の獲得といった明確なビジネス目標を持っている。さまざまな企業や個人が集まり、ネットワーキングを行ったり、事業提携の可能性を探ったりする。このようなビジネスマッチングは、新しいビジネスの創出や拡大、そしてネットワークの構築において、非常に重要な役割を果たしている。

 前例のないビジネスマッチング中心のプログラムの検討には時間がかかったようだが、豊田会長の毎年開催の意向は引き継がれていた。2024年の5月に、新たな事業共創を推進するビジネスイベントとして正式に開催が発表され、デジタルイノベーションの総合展「CEATEC(シーテック) 2024」との同時開催も発表された。

 JMS2024の主な企画は三つに分かれており、

・ブース出展エリア(スタートアップ企業150社と事業会社50社の計200社が出展予定)
・ビジネスマッチングプログラム(オンラインおよびリアルイベントでのマッチング)
・未来モビリティ会議(基調講演やテーマ別ディスカッション)

となっている。このようにビジネスに特化した企画が多いことが、従来のモーターショーの雰囲気を薄れさせている要因のひとつとなっている。

 自工会による出展募集は6月21日に開始された。しかし、出展を検討する企業のほとんどにとっては、すでに決まった当年度の予算から出展費用を捻出するのは難しいタイミングだったといわざるを得ない。なかには先にCEATECへの出展を決めていた企業もあり、混乱を招いたことは間違いない。出展受け付けは現在までに締め切られたが、ビジネスマッチングの申し込みは9月中旬から受け付けが始まっている。

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