EVシフトで本当に影響を受ける「自動車部品」は何か? 分野によっては事業拡大の見込みも

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EVシフトが進むにつれ、自動車部品の数は約3万点から約2万点に減少した。エンジン部品メーカーは苦境に立たされているが、住友電工などは新たなビジネスチャンスをつかんでいる。電動コンプレッサー市場では豊田自動織機が5割のシェアを誇るが、eアクスル分野ではニデックが苦戦している。日本企業にとってのカギは、競争の波に乗れるかどうかだ。

EV需要拡大の波

住友電工のウェブサイト(画像:住友電工)
住友電工のウェブサイト(画像:住友電工)

 EVシフトにより自動車全体の部品点数は減少するが、EV関連部品に対する需要は高まるため、売り上げの拡大を見込むサプライヤーもいる。

 住友電工(大阪市)は自動車用ワイヤーハーネス(電力と電気信号を伝える役割を持った部品の集合体。人間の血管や神経に相当する)を手がけるサプライヤーで、国内の主要メーカーだけでなく海外メーカーにも納入している。

 住友電工は2021年ごろに自動車事業の売上高が大幅に下がっていたが、EVシフトが進むにつれて、ワイヤーハーネスを始めとする売上高が急速に伸びており、2025年には過去最高の売上高を見込んでいる。ワイヤーハーネスは、EVシフトにおいて特に重要な分野であり、モーター、インバーター、駆動用バッテリーなどの電動部品を接続する役割を果たしている。住友電工以外のワイヤーハーネスのサプライヤーも、EVシフトに対して前向きな姿勢を示しており、全体として追い風となっている。

 また、EVシフトの影響が少ない分野として車体関連部品が挙げられる。ガソリンエンジン車からEVに変わっても、車体本体の構造には大きな影響がないからだ。しかし、車体製造の技術を生かしてEV用の部品製造に乗り出すサプライヤーも増えている。

 例えば、JFEスチール(東京都千代田区)は持ち前の深絞り技術を生かして鋼製のEV用バッテリーケースを開発している。バッテリーケースは軽量化のためにアルミで作られることが多いが、鉄の方が圧倒的にコストが安いため、コストパフォーマンスに優れたバッテリーケースを提案している。

 さらに、JFEスチールが開発したバッテリーモジュールの構成部品がハイブリッド車(HV)に採用される事例も出ており、EVや電動車へのシフトで新たな販路を拡大できている。

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