トヨタがギガキャスト用大型鋳造設備の導入先に、愛知の「自社工場」を選んだ理由

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トヨタが愛知県内に国内最大級のギガキャスト用鋳造設備を導入する。型締力は9000tで、EV生産の効率化を目指す。2025年までに30モデルを市場投入予定で、2030年には年間350万台のEV販売を計画している。

愛知に集まるギガキャストの未来

アイシンの中長期事業戦略説明資料(画像:アイシン)
アイシンの中長期事業戦略説明資料(画像:アイシン)

 トヨタがギガキャスト用大型鋳造設備を導入するのは、

「明知工場」(愛知県みよし市)

が最有力と考えられる。この工場では、これまでにギガキャストの試作用設備を扱っており、UBEマシナリー製の新設備が導入されることで、さらなる試作開発が進む可能性が高い。他の候補としては、次世代EV向けの実証生産ラインがある

「元町工場」(豊田市)

もあるが、試作用設備をすぐに量産工場に導入するのは難しいだろう。

 ギガキャストに使用される大型鋳造設備は、テニスコート1面分ほどの大きさで、重量は1000t近くになると予想されている。UBEマシナリーは山口県宇部市に生産工場があり、愛知県のトヨタ工場に運ぶためには、設備を分割して輸送する必要があり、かなりの手間と費用がかかる。海外工場への輸出となると、さらに労力や費用が増えるため、トヨタが国内工場でのギガキャスト導入を選んだ理由のひとつには、設備運搬をできるだけ簡便にしたいという意図があったと考えられる。

 また、ギガキャスト用の大型鋳造設備は汎用(はんよう)性が低く、導入する車種を愛知県内の自社工場で生産するEVに限定している可能性がある。ひとつの設備で成形できる部品のサイズには限界があるため、生産できる車両サイズも制約される。多くの車種にギガキャストを導入するには、複数の金型が必要で段替え作業が増えるため、生産性が低下する。そのため、トヨタは試作用設備を使って試行を重ねながら、ギガキャストを量産に導入する段階で具体的な車種を選定して進めるだろう。

 さらに、トヨタグループ各社との連携も重要なポイントだ。アイシンは2023年9月に中長期事業戦略を発表し、成長領域にEV向けの「BEV商材」として電池骨格やギガキャストを挙げている。2021年比で売上高を10倍にする2000億円を目指し、今後はトヨタとの連携が見込まれる。アイシンも試作段階から参加する可能性があり、愛知県内に研究開発や生産拠点を持つアイシンにとって、トヨタ自社工場にギガキャストが導入されることは地の利を生かすことにつながる。

 以上の点を考慮すると、明知工場の活用に加え、将来的にギガキャストを導入するEVの生産工場やトヨタグループ各社との連携を踏まえ、トヨタがギガキャストを導入する工場のロケーションとして愛知県以外の選択肢はほとんどなかったと考えられる。

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