日産の4~6月営業益「99%減」も欧州好調なワケ e-POWERの光る存在感、“米中依存”脱却は可能なのか?

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日産自動車は、2024年度第1四半期決算で連結営業利益が前年同期比-99.2%と大幅減少。米国での販売競争激化や在庫適正化費用の増加が要因。しかし、欧州市場では堅調な販売を維持し、成長の余地も残されている。

欧州市場でのポテンシャル

2024年8月28日発表。主要11か国と北欧3か国の合計販売台数と電気自動車(BEV/PHV/FCV)およびHVシェアの推移(画像:マークラインズ)
2024年8月28日発表。主要11か国と北欧3か国の合計販売台数と電気自動車(BEV/PHV/FCV)およびHVシェアの推移(画像:マークラインズ)

 実は、欧州で販売台数を伸ばしているのは日産自動車だけではない。ここで、ACEAの集計による日系自動車メーカーの販売実績(EU、EFTA、英国)をみてみよう。

●2023年(年間)
・トヨタ:888(千台)10.2% ※レクサス含む
・日産:293(千台)23.1%
・スズキ:187(千台)41.6%
・マツダ:182(千台)30.2%
・ホンダ:60(千台)-9.8%
・三菱:42(千台)-25.1%

●2024年(1~6月)
・トヨタ:522(千台)16.1% ※レクサス含む
・日産:176(千台)18.2%
・スズキ:115(千台)27.6%
・マツダ:93(千台)-0.4%
・ホンダ:41(千台)44.2%
・三菱:37(千台)88.1%

 2023年は、半導体不足や船舶不足による製造台数縮小の反動で、ホンダと三菱を除きプラスとなっている。また、日産自動車をはじめトヨタ、スズキは、2024年(1~6月)もプラスを維持しており、前年に続いて堅調とみてもよいだろう。特にスズキは、

「新型スイフトの投入」

が功を奏し伸びが顕著だ。対前年の伸び率だけみると、多くの日系自動車メーカーが好調を維持しているようにみえるが、年間の販売台数(2023年)では、

・フォルクスワーゲングループ:332万4000台
・ステランティスグループ:212万8000台
・ルノーグループ:124万2000台

の上位勢に対し、トヨタでさえ桁が異なっているのが現状だ。つまり、そもそも欧州市場における

「日系メーカーのパイはそれほど大きくない」

といえなくもない。しかしながら、見方を変えれば成長の余地があることであり、2035年までにどれだけ伸ばせるかにかかっている。

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