ハンマーで叩き壊される日本車! 80年代のジャパン・バッシングと、白人貧困層出身「副大統領候補」の時代的因縁
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トランプ氏が副大統領候補に指名したJ.D.バンス氏は、オハイオ州出身の白人労働者階級で、ラストベルトの象徴的存在である。彼の起用は、トランプ氏の再選戦略において重要な役割を果たすと見られ、特に過去の選挙で苦戦したラストベルトでの支持拡大が期待される。
中流階級瓦解の真実

ラストベルトは、1980年代以降に定着した言葉で、日本語では
「さびついた工業地帯」
といわれている。以前は重工業や製造業が盛んであったが、国際競争力の低下とともに衰退しさびついた工場が立ち並び、その光景からラストベルトと呼ばれるようになった。
地理的には、五大湖周辺から東海岸にかけての地域を指しており、
・ウィスコンシン州
・イリノイ州
・ミシガン州
・インディアナ州
・オハイオ州
・ペンシルベニア州
・ウエストバージニア州
などで構成されている。ラストベルトは、米国製造業衰退の象徴としてだけでなく、かつて製造業を支えてきた白人労働者による
「中流階級瓦解(がかい。物事や組織が崩れたり、崩壊したりすること)」
の象徴ともされてきた。
もちろん、ラストベルトの製造業が全滅したわけではなく、今でも鉄鋼や自動車産業が残っており米国製造業の中心地にはかわりない。だからこそトランプ氏は、自国の製造業の保護といった
「かつての強い米国」
を想起させるような政策により、白人労働者階級の票の取り込み躍起になっている。今回の大統領選挙戦では、バンス氏の起用でさらに攻勢をかけられるかもしれない。