トイレ撤去で信頼失墜? JRの“切り捨て体質”が招く鉄道危機、利用者軽視が招くトイレ行列の実態とは?

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鉄道利用者の「トイレ不安」は高齢者や障害者にとって深刻な問題だ。JR各社が待合室やトイレの撤去を進めるなか、福井県のえちぜん鉄道は充実した設備で支持を集めている。需要に対して供給不足が顕著で、特に女性用トイレは男性用の3倍必要といわれている。

駅トイレの重要性

ローカル線(画像:写真AC)
ローカル線(画像:写真AC)

 いずれにしても鉄道やバスなど公共交通を利用するときに、切実な問題のひとつは「トイレ」ではないだろうか。ことに高齢者や障がい者の公共交通の利用にあたって

「トイレの不安」

は大きい。高齢者が外出するときに「トイレが心配」というのを聞いて、筆者(上岡直見、交通専門家)も若いころには「そんなものか」という程度の感覚しかなかったが、今となってみると実感できる。

「鉄道ローカル線のバス転換」

に対する不安のひとつとして、あまり表立って語られることはないが「トイレ」の問題は無視できない。バス転換をめぐるアンケートなどではその指摘を見かけることがある。自宅にいるのとは違って外出時には何かと不便や面倒が生じるのは仕方がないとしても、曲がりなりにも待合室とトイレがある鉄道の駅に比べて、バス転換でポール一本の吹きさらしの停留所になってしまうことに対する不安は大きい。

 また実際にバス転換されるとますます乗客が減ってしまう要因のひとつにもなる。

「郷愁でローカル線は残せない」

などと建前論で語る論者がいるが、「郷愁」とひとくくりにされる概念のなかにはそういう切実な要因が含まれていることも知るべきだ。

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