トイレ撤去で信頼失墜? JRの“切り捨て体質”が招く鉄道危機、利用者軽視が招くトイレ行列の実態とは?

キーワード :
, ,
鉄道利用者の「トイレ不安」は高齢者や障害者にとって深刻な問題だ。JR各社が待合室やトイレの撤去を進めるなか、福井県のえちぜん鉄道は充実した設備で支持を集めている。需要に対して供給不足が顕著で、特に女性用トイレは男性用の3倍必要といわれている。

「所便」の時代

JR西日本のローカル線で見かけたトイレ。筆者撮影(画像:上岡直見)
JR西日本のローカル線で見かけたトイレ。筆者撮影(画像:上岡直見)

 今では年配者でも「トイレ」と呼ぶ人がほとんどだが、昭和の時代には、おそらく戦災を受けなかったローカル線の駅などに、ホームに昔のままの右から左に読む

「所便」

という青札が残っていたのを見かけた。しかし当時の駅のトイレの状態は劣悪で、水洗が普及していなかったこともあって、臭気や汚れなどの衛生面はもとより、落書きが多く見るに堪えない状態だった。個人情報を示して誹謗(ひぼう)中傷する落書きさえあった。

 現在のネット上の下品な書き込みは「トイレの落書き」と称されるが、トイレが昔よりはきれいになった一方で

「落書きがネットに移行しただけ」

なのだろうか。いささか興味本位になるが、写真はJR西日本のローカル線で見かけたトイレである。こうなるとむしろ

「遺構」

の範囲かもしれない。鉄道が主要な交通手段であった時代には多くの人の役に立っていたのだろう。

 一方で使い方の面で、今では全国どこでも鉄道に限らずトイレの「一列並び」が定着しているが、過渡期には摩擦もあった。一列並びを理解せず無視する人があり、注意しても「何をわけのわからないことをいってるんだ」と話が通じないこともあった。

全てのコメントを見る