四国と九州の「この場所」に、なぜ橋やトンネルを作らないのか?

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豊予海峡に橋やトンネルを建設する計画が再浮上。半導体産業の成長が九州の重要性を高め、交通網整備で関西と直結するチャンス。巨額投資が必要だが、今こそ100年に一度の推進の好機。

半導体急成長が後押しする海峡ルート

国土レベル・広域圏レベルの必要性の視点(画像:大分市)
国土レベル・広域圏レベルの必要性の視点(画像:大分市)

 現在、豊予海峡ルートの実現可能性はどのような状況にあるか。実際のところ、まだ関心は低い。佐藤知事が事業復活を表明したが、九州を除けばほとんど報道されていない。愛媛県側にいたっては、過去の構想の扱いだ。大分県交通政策企画課に現状を尋ねたところ、

「現在は機運醸成に向けて、県内外や国に説明をしている段階」

とのことだった。豊予海峡ルートは巨額の事業費が必要な国家的プロジェクトであり、その実現には国の決断が欠かせない。そのため、今の段階では国への働きかけが最優先課題となっているわけだ。

 半導体産業への関心が高まっていることは改めて強調する必要はない。この背景には、AI、IoT、自動運転といった半導体を必要とする技術の急速な発展がある。日本政府も2021年6月に「半導体・デジタル産業戦略」を策定し、2030年までに半導体の国内生産額を3倍の15兆円に引き上げる目標を掲げている。

 つまり、半導体産業が急成長している今は、豊予海峡ルートを推進する100年に一度のタイミングといえる。

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