高速バス「フルフラット化」は本当に安全か? 新ガイドライン11月頃策定も、中国では寝台バス廃止 その理由とは
事故での衝撃問題

深夜高速バスの寝台をフルフラット化する場合、乗客の身体に影響を及ぼすさまざまな危険性に注意しなければならない。
通常の自動車の座席では、乗客の背中は背もたれとヘッドレストで支えられ、ヘッドレストは頭と首を保護する。事故の際、特に正面衝突の場合、座席は乗員を支え、シートベルトは乗員が座席から放り出されるのを防ぐ。
寝台とはいえ深夜高速バスも同様である。135度までしか倒れない座席と、就寝中でも着用しなければならないシートベルトは、現行規制の範囲内で十分な安全性を確保するためのものだ。
国土交通省が過去に実施した衝突実験によると、単純に座席をフルフラットにした場合、事故時には以下のような状態になり、乗員に重大な影響を及ぼす障害が問題視されている。
・頸部、腹部への衝撃が大きい
・肩ベルト(シートベルト)が頸(くび)に掛かる
現行の道路交通法では、安全性が確認されればフルフラット寝台の使用は認められている。実際、現在の深夜高速バスには、運転手が交代で寝るための寝台スペースが荷室横に設けられている。
国内でもフルフラット座席の高速バスは数例あり、高知駅前観光が運行を予定しているバス「ソメイユプロフォン」は、奇抜な可変機構で座席をフルフラット寝台に変えている。座席には転落防止用のバーや頭部を保護するヘッドガードなどが装備され、車両保管基準にも適合している。
国土交通省が策定するガイドラインには、ソメイユプロフォンの安全対策がまとめられる見通しで、資料には安全性を検証するための試験計画として、シートベルトの強化や座席周囲への転落防止・保護材の設置などが盛り込まれている。
具体的な試験結果に基づいたガイドラインであれば、高速バス各社も安全対策に取り組みやすくなるし、数社が採用すれば加速度的に採用社数が増えるだろう。