いつまで荷主にナメられるのか――もはや爆発寸前、中小「運送会社」の“積年の恨み”の正体
「2割長く2割安い」運送業界の悪習

運賃安売りの限界に到達した運送会社は、
「ドライバーを犠牲にする」
ことで差別化を図った。先に挙げた、
・手積み手卸し
・自主荷役
・コンプライアンス違反の無理な運行
などは、その一例である。
「運送会社ってさ、結局のところ、荷主のわがままにどれだけ応えられるかが勝負なわけだよ」
これは保有車両台数20台ほどの、ある運送会社社長の発言である。
「でもそんな我慢比べにも限界はありますよね。そもそも、社長のところは、コンプライアンス真っ黒じゃないですか」
筆者の言葉に社長は激怒した。
「わかってないな、お前!」
それでも、経営のため、仕事を取るため、なにより(逆説的ではあるが)
「従業員の雇用を守る」
ため、運送会社経営者は荷主の過剰要求に応えなければならない。その葛藤を、正論で全否定した筆者の発言は、この社長の逆鱗(げきりん)に触れたのだ。
運送業界は、
「2割長く2割安い」
といわれてきた。他の業界に比べて、労働時間は2割長く、収入は2割安いという意味である。
荷主のわがままに応えようとすれば、おのずと長時間労働になる。値下げでしか競合との差別化を図ることができなければ、おのずとドライバーの収入は下がる。
断言する。「2割長く2割安い」運送業界を生み出したのは、間違いなく
「荷主」
である。このように、優越的な地位にある買い手である荷主が、長年にわたり運送会社を虐げてきた現状こそが、現在のドライバー不足等を発端とする「物流の2024年問題」等の物流クライシスにつながっている。
今になって日本の産業界は、物流クライシス対策に躍起になっているが、そもそもこの状況は、荷主たるメーカー、小売り、卸などが、
「運送会社を虐げてきた結果」
なのだ。加えていえば、割合にしてわずか0.1%しか存在しない大手物流会社が、中小の運送会社を下請けとして、いいように使ってきた経緯もあるのだが、本稿の趣旨とは異なるため割愛する。