不法侵入から破壊行為まで! 鉄道オタクの「迷惑行為」が延々と繰り返される理由 SNS時代に再考する

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鉄道オタクの一部がSNS時代に迷惑行為を繰り返し、私有地侵入や違法駐車などが増加。アイデンティティー・ポリティクスが影響し、オタク文化の極端な行動が社会問題化。鉄道オタクのトラブルは「数日おき」に発生し、SNSの影響で過激化している。

鉄道オタクとSNSの権利意識

鉄道(画像:写真AC)
鉄道(画像:写真AC)

 繰り返すが、問題を引き起こすのは鉄道オタクの一部である。なぜこのような迷惑な鉄道オタクが発生するのか。この点について考えてみよう。

 まず、SNSの普及によって、鉄道オタクの活動が

「広く可視化されるようになったこと」

が大きな要因のひとつだろう。特に“撮り鉄”だ。彼らは撮影した鉄道の写真や動画をSNSにアップすることが多いが、その過程で問題行為が発生することがある。

 例えば、2024年5月の山陽新聞に掲載された記事では、前述の特急「やくも」の現行車両運行が終了した際に起きた問題が報じられている。撮影のために私有地に無断で立ち入ったり、危険な場所で撮影したりする“撮り鉄”もいた。また、撮影時間に間に合わせるために、違法駐車をするケースもあった。

 こうした行動の背景には、趣味活動への過度な没頭が考えられる。鉄道オタクにとって、趣味は単なる暇つぶしではなく、アイデンティティーの重要な部分を形成している。そのため、趣味活動を邪魔されることへの抵抗感が強く、社会規範を無視することもある。その原動力となっているのは、SNS時代特有の

「権利意識の歪み」

だろう。この問題は鉄道オタクに限ったことではなく、昨今のSNS利用全般に見られる傾向でもある。例えば、

・過剰なミソジニー(女性嫌悪)
・特定集団へのレッテル貼り

は、他のオタク文化においても生じている。これらの問題は、SNSがエコーチェンバー(同じ意見の人が集まり、その意見が増幅される現象)を生みやすい環境であることと関係している。

 現在のSNS環境は、かつてのパソコン通信時代とは情報拡散のスピードや影響力が大きく異なる。パソコン通信時代には、

・情報の民主化
・非商業的コミュニティーの形成

など、ある種の理想主義的な側面があった。一方、現代のSNSは

「アテンション・エコノミー(ユーザーの注目や関心が経済的価値を持つ仕組み)」

の影響を受け、注目を集めることに重点が置かれている。

 この新常識が一般化するにつれ、一部の鉄道オタクは過激な行動で注目を集めようとしたり、趣味に没頭するあまり他人への配慮を欠いたりする。その結果、社会問題化する行動が後を絶たないのだ。

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