不法侵入から破壊行為まで! 鉄道オタクの「迷惑行為」が延々と繰り返される理由 SNS時代に再考する
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アイデンティティー強化の新潮流

このようなSNS時代における鉄道オタクの行動の変化を、より広い社会的文脈で理解する必要がある。遠藤薫氏の
「間メディア空間」
という概念とアイデンティティー・ポリティクスという視点は、この現象を分析するのに有効な枠組みを提供してくれる。
遠藤氏によれば、「間メディア空間」とは、
「伝統的なマスメディアとインターネットやSNSなどの新しいメディアが混在する現代の情報環境」
を指す。この環境では、誰もが情報の送り手にも受け手にもなれる。
この「間メディア空間」において、鉄道オタクの行動には次のようなアイデンティティー・ポリティクスの特徴が色濃く表れている。遠藤の研究を援用すれば、次のように考えることができる。
●視覚的自己表現
鉄道写真や動画をSNSに投稿し、自身の鉄道オタクとしてのアイデンティティーを強調する。これは自己のアイデンティティーを政治的に主張する行為と捉えられる。
●専門用語の多用
車両型番や技術用語を頻繁に使用し、仲間内での結束を強める。これにより、アイデンティティーに基づくグループの境界線を明確にしている。
●オンラインコミュニティーの形成
SNS上でグループを作り、情報交換や価値観の共有を行う。これは同じアイデンティティーを持つ者同士の連帯を強化する。
●批判的言動の増加
マナー違反者や鉄道会社の方針に対し、SNS上で激しい批判を展開する。これは自集団のアイデンティティーを守るための政治的行動と解釈できる。
これらの特徴は、遠藤氏が指摘した「間メディア空間」における自己提示の要素と酷似しており、同時にアイデンティティー・ポリティクスの現れでもある。
つまり、鉄道オタクのSNS上での行動は、現代のメディア環境が生み出した新しいコミュニケーション形態であると同時に、アイデンティティーに基づく
「政治的行動の一形態」
と考えることができる。この観点からすれば、一部の鉄道オタクの問題行動は、単なる個人の逸脱ではなく、「間メディア空間」がもたらした
「構造的な問題の現れ」
であり、アイデンティティーを軸とした権利主張と利益追求の極端な形態として理解することができる。