東京で全然見かけなくなった「シアトルズベストコーヒー」が、九州に今でもやたらと多いワケ【連載】移動と文化の交差点(6)
シアトルズベストコーヒーは、九州で急成長中。福岡を中心に、交通利便性の高い駅構内で展開し、地域経済にも貢献している。
カフェ文化の新潮流

筆者はカフェをよく利用するが、コーヒーチェーンはコンテンツツーリズムの観点からも興味深い。前述のコーヒーチェーンの1号店は、コーヒー好きにとって“聖地”となっているし、さまざまなコンテンツの舞台となるコーヒーショップやカフェも、コンテンツのファンにとって重要な“聖地”となっている。
また、韓国・ソウルの聖水洞(ソンスドン)に代表される「カフェストリート」は重要な観光資源となっているし、有名な「茶館」もそうだ。もちろん日本でも、レトロカフェを訪れる若者は増えている。ジョン・レノンも訪れたという日本最古の喫茶店のひとつといわれる西銀座の「カフェ・パウリスタ」など、時間帯によっては満席になる店も少なくない。
鉄道事業だけでなく、各鉄道会社は商業施設やホテル事業にも積極的だが、それにしても、JR九州の展開には驚いてしまう。
福岡は全国でもまれに見る活況を呈する地方都市であり、新幹線の延伸など九州経済の話題も多い。JR九州傘下の企業がシアトルズベストコーヒーをはじめとする事業を展開するのも、こうした背景があるからだろう。
筆者は、いちコーヒーファンとして、シアトルズベストコーヒーの今後に注目したいが、コンテンツツーリズム研究者としては、JR九州の鉄道以外の事業から目が離せない。