日本企業とイスラエル軍需企業の関係が「東南アジア」でのビジネスを妨げるワケ 川崎重工業への抗議デモから考える
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パレスチナ支援団体が、川崎重工業にイスラエル製ドローンの輸入停止を要求、2万3000人の署名を提出した。イスラエルによるパレスチナへのエスカレートする攻撃は、日本企業の風評リスクを高めている。企業は地政学的リスクを注視する必要がある。
イスラエル製品ボイコットと経済制裁

2023年秋以降、イスラエルはパレスチナに対する攻撃をエスカレートさせ、罪のない女性や子どもなど多くが犠牲となり、これまでの死亡者数は4万人に迫ろうとしているが、ネタニヤフ政権は一向に攻撃の手を緩める気配を見せない。それによって国際社会では当然のようにイスラエルへの批判がアラブ諸国を中心に広がり、イスラエル支持に撤する米国への不信感やいら立ちも拡大している。
中東のレバノンやイエメン、シリアやイラクを拠点とする親イランのシーア派武装勢力などはハマスとの共闘を宣言し、反イスラエル、反米闘争をエスカレートさせ、レバノンのヒズボラはイスラエル領内へのロケット弾などによる攻撃を強化し、イエメンのフーシ派は公海を航行する外国船舶への攻撃を続けている。
そして、こういった情勢は経済の領域へも影響を及ぼしている。イスラエルによる攻撃がエスカレートするにつれ、イスラム教国の間ではイスラエルに抗議するデモが拡大するだけでなく、イスラエル製品をボイコットする呼び掛けがネット上で拡散し、店頭からイスラエル製品がなくなるといった事態が生じている。
日本企業の進出も多い東南アジアのインドネシアやマレーシアでは、この事態に対して米国への不満が広がり、現地にあるマクドナルドやスターバックスなどへの客足が減り、売り上げに影響は出ているという。
また、外交上でも、トルコ(イスラム教国)は4月、鉄鋼やジェット燃料、化学肥料や建設機器など54品目についてイスラエルへの輸出を制限する措置を実施し、5月からはイスラエルとの貿易を全面的に停止すると発表した。
南米のコロンビアは5月にイスラエルとの断交を発表し、モルディブ(イスラム教国)は6月にイスラエル人の入国を禁止するなど、ビジネス面の影響が広がっている。