日本の「バス運賃」は安すぎる、だから即値上げすべき! というのは単なる暴論だ【リレー連載】ビーフという作法(1)

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WEB CARTOPの2023年11月7日付け記事は、路線バス存続には運賃値上げが必要だと主張。しかし、日本の生活者は高い運賃に消極的である。ロンドンやニューヨーク並みの運賃は不可能で、利用者減少の懸念がある。

批判点3「区間制デメリットの不言及」

路線バス(画像:写真AC)
路線バス(画像:写真AC)

 大都市圏への区間制運賃導入のデメリットについても言及しないわけにはいかない。主に

・東京近郊:前乗り、先払い、均一運賃
・京阪神:後乗り、後払い、均一運賃

である。以前、当媒体の別の記事で、筆者は、路線バスはエリアによって乗り方や支払いのタイミングが異なるため、日本では「わかりにくい乗り物」であると述べた。個人的には、「後乗り・後払い」を統一し、エリアによって均一運賃か区間運賃に分けたほうがよいと考えている。混乱を防ぐ最善の方法だからだ。

 高齢者のなかには、ICカードなどのキャッシュレス決済に消極的な人もまだ多い。筆者の最近の調査では

「約45%」

もいた。これらすべてを均一区間制から区間運賃制に変更するのであれば、現金への対応も視野に入れ、多数の整理券発行機、両替機付き運賃機、区間運賃表示機(現在は多くの場合プログラムにより変更可能)が必要となる。

 整理券発行機は1台10万円以上、運賃機は1台100万円前後する。事前に行き先を告げて運賃を徴収する前乗りの信用制の場合、整理券発行機が不要になったとしても、ドライバーの手間を考えれば、運賃機の交換は最低限必要である。そのコストを抜きにして、一概に「区間制運賃制度にしたほうがいい」とは言い切れないのである。

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