日本の「バス運賃」は安すぎる、だから即値上げすべき! というのは単なる暴論だ【リレー連載】ビーフという作法(1)

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WEB CARTOPの2023年11月7日付け記事は、路線バス存続には運賃値上げが必要だと主張。しかし、日本の生活者は高い運賃に消極的である。ロンドンやニューヨーク並みの運賃は不可能で、利用者減少の懸念がある。

批判点1「支払意思額の不言及」

路線バス(画像:写真AC)
路線バス(画像:写真AC)

 これは、公共交通事業を考える上で、よく考え、検討しなければならないテーマである。

 東京エリアでは、「2024年問題」(働き方改革で路線バスの運用数とドライバー数の確保が難しくなっている問題)により、今春から均一運賃が230円、高い事業者では240円に値上げされた筆者(西山敏樹、都市工学者)は現在、

・バリアフリーバス
・ユニバーサルデザインバス

などの「人に優しい路線バス」や

・燃料電池バス
・純電動バス
・ハイブリッドバス
・バイオ燃料バス

などの「環境に優しい路線バス」を増やすために、バス事業者や学生らと、支払意思額(いくらまでなら支払ってもよいか)の調査を行っている。

 調査結果はすでに出始めているが、ロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルスのような支払意思を示す生活者は日本にほとんどいない。持続可能な社会を実現するため、人と環境に優しいバスを含めても、均一運賃の“限界点”は250円前後だ。

 さらに細かく、都市生活者にインタビューして、ドライバーが少ないことをカバーするとして、いくらなら払ってもいいかと聞いても、せいぜい260円くらいが限界だ。

 要は、ロンドンやニューヨーク、ロサンゼルス並みの水準が必要になったとしても、長引く不況と物価上昇のなかで路線バスの運賃を上げれば、乗車率が下がるという悪循環に陥ることは間違いないのである。

 生活者の支払い意欲を無視して運賃を上げれば、業界に逆効果をもたらす可能性が高い。

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