トラックGメンもうすぐ「創設1周年」 しかし、ちゃんと機能しているのか? 荷主の報復に運送会社いまだ怯える現実
是正措置は「氷山の一角」

現在、国内の運送会社は、6万3000社強ある。おそらく、過去に一度たりとも荷主・元請から、不当な取引を要求されたことがない運送会社など皆無だろう。
・運賃の買いたたき。
・対価の支払いを伴わない自主荷役など、付帯業務の強要。
・積み卸しを開始するまでの待機強要。
・高速道路料金・有料道路料金の未払い。
・過積載や異常な長時間労働など、コンプライアンス違反の強要。
「物流の2024年問題」を筆頭とする物流クライシスに対する危機意識の高まりにより、「運送会社やトラックドライバーをいじめるな」という機運も高まりつつあるのは確かだ。しかし、「お客さまは神さまだ」といわんばかりに、運送会社に対する優越的な立場を利用し、このような
「ふらちな行為」
を強要する荷主や元請事業者はいまだに存在する。トラックGメンが、運送会社を苦しめる行為に一定の効果を発揮しているのは間違いがない。だが、その効果は、残念ながら圧倒的に小さい。
運送会社数に対し、先の是正措置件数の割合は、わずかに
「1%」
である。筆者(坂田良平、物流ジャーナリスト)の肌感でいっても、今もなお、荷主・親請に虐げられている運送会社の数が1%しかいないわけがないし、トラックGメンが摘発した654件は、運送会社よりもはるかに数の多い、荷主を対象としたものである。創設から約1年でトラックGメンが出した実績は、このような行為を続ける荷主・元請事業者の氷山の一角でしかない。
この原因はなにか。まずひとつは、トラックGメンの数が圧倒的に少ないことだ。創設時におけるトラックGメンは162人。単純計算で、ひとりのトラックGメンが担当する運送会社数は
「390社」
となる。ただしこれは単純な頭割りであって、運送会社の数が多い都市部では、ひとりのトラックGメンが担当する運送会社数は、さらに多くなる。
筆者が、横浜市中区にあるトラックGメンを取材したのは2023年10月のこと。既に先行する報道では、運送会社に対し訪問ヒアリングを行う様子、あるいは高速道路上のパーキングエリア・サービスエリア等で、休息をするトラックドライバーにチラシを配布したり、ヒアリングを行う様子が報じられていたが、それは運送会社数が少ない地方の話である。運送会社数が圧倒的に多い関東運輸局では、電話でのヒアリングを基本としていた。
もうひとつ、摘発件数の増加を妨げる重大な要因がある。それは、トラックGメンに対し、
「非協力的な運送会社」
の存在である。