JR芸備線の存廃問題! 「鉄道の役割を終えた」はそもそも本当か? 実態から浮かぶ“利用したくてもできないダイヤ”という存在
使いたくても使えない芸備線の列車ダイヤ

特に三次から先の備中神代までの区間についてダイヤが不便で
「訪ねてくる人だけではなく、地元の人でさえ利用したくても利用できない状態となっている」
という地元関係者からの指摘もある。広島県庄原市の中心駅である備後庄原駅から広島駅に向かおうとした場合、芸備線では三次行が
・平日:7本
・休日:5本
の列車が設定されているが、三次駅で広島行に乗り継ぐ必要があり、所要時間は2時間~2時間半程度かかる。9時57分発の三次行が出発した次は15時28分まで列車の運行がなく、日中の時間帯については5時間半も運行間隔が空いている。
広島駅から備後庄原駅に向かう場合についてはさらに不便で、三次駅から備後庄原方面に向かう6時54分発の備後落合行に広島駅からの始発列車は接続しておらず、始発列車に接続する7時47分発の備後庄原行は休日運休となっている。
この次の列車は広島駅を11時2分に発車し三次駅に12時24分に到着する快速三次ライナーに接続する13時発の備後落合行まで待たなければならず、広島方面から休日に芸備線に乗って備後庄原に行くには利用しづらいダイヤとなっている。この列車に乗ると備後庄原駅に到着するのは13時35分となり所要時間はおよそ2時間半だ。
一方で、備後庄原駅と広島駅を結ぶ高速バスについては1時間間隔で運行されており、所要時間は2時間10分。利便性の上では高速バスのほうが鉄道よりも圧倒的に勝っていることから、芸備線は利用したくても利用しづらい実態だ。
さらに、庄原市東城町(旧比婆郡東城町)の中心地区にある東城駅についても同様だ。東城地区については、7000人弱の人口集積があり大型スーパーや24時間営業のコンビニエンスストアが複数件立地している。さらに、さらに東城地区には
・日東粉化工業(大阪市)
・竹原化学工業(兵庫県明石市)
・積水樹脂(大阪市、東証プライム)
などの工場が立地しているほか、大阪府吹田市と山口県下関市を結ぶ中国自動車道の東城インターも置かれている。
しかし、芸備線を利用して庄原市の中心地区である備後庄原駅に向かおうとすれば、東城駅から乗車できる列車は5時45分発の備後落合行と13時35分発の備後落合行しかなく、最終列車となる18時57分発の備後落合行については、備後落合駅でその先の列車の接続がない。さらに、東城~備後庄原間の所要時間は1時間40~50分を要する。
一方のバス路線は、備後庄原駅まで1日4本の設定があり所要時間は36分。さらに広島駅までを結ぶ高速バスも1本の設定があり、こちらの所要時間は2時間48分となっている。
芸備線がここまで時間がかかる理由については、
・遠回りのルートを取っていること
・速度規制
の問題がある。中国自動車道と国道23号線が東城と庄原を直線的に向かうルートを取っているのに対して、芸備線は道後山を経由する北に大きく迂回するルートを取っていること。さらに、線路の保守費を抑えるために鉄橋やトンネルなどのいたる所に25km/hの速度規制がかけられており、高速走行することができないことが大きな理由である。
JR西日本は保守費を抑えることで速度や運行頻度といった鉄道の強みを失ってでも閑散線区の維持を図ってきた姿勢をみることができるが、その一方で、鉄道の強みを低下させたという面では地域住民や観光客が利用したくても利用できない状況となっている現状から利用面では負のスパイラル状態とみることもできる。